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<96>オムニチャネルとPB開発
総合小売業には歴史のある老舗企業が多く、百貨店で言えば松坂屋、三越、大丸、高島屋、松屋、伊勢丹等、素晴らしい歴史と伝統のある呉服系の百貨店が代表たる企業で、GMSにおいてもイトーヨーカ堂、イオン等、そうそうたる規模を誇る小売業なのです。
各社がオムニチャネルの始動の為の模索が始まっています。では百貨店やGMSがオム二チャネル化を成功に導くにはどのような経営戦略が必要なのでしょうか?
ショップブランドとグッズブランドの違いやテイスト軸のライフスタイル型PB開発につきましては、過去から幾度もに提言していますのでここでは省略しますが、オムニチャネル化にはそれ以外にも、さまざまな要素を基盤に持ちながら推進することが求められています。
オムニチャネルにおける物流改革
ネット、ネットと騒がれて久しいですが、リアル店舗とカタログ通販とネット通販を基本に、1テーブルにての議論が必要で、意外とカタログ通販ビジネスが軽視されているように思われます。総合通販においてもまだまだカタログ送付により、そのカタログを見てのPC発注が多いのが実態であり、カタログを見ないでも自分でPCやモバイルでサイトやモノを探せる人や売上よりも多いのです。特に百貨店顧客のカタログなしでの発注比率はかなり低いのです。
1年毎にその境界線が上昇していくことを否定するものではありませんが、寿命からしてまだカタログマーケットは40年以上も存在していくのです。一気に0になるものではありません。
特にカタログやネット通販においては、物流オペレーションの確立が課題であり、運送費の経費節減の方法等は、なんでも自社物流でなくても、当面経費削減効果の見込める企業とのコラボも重要です。特に運送会社のノウハウは一朝一夕で吸収できるとは思えないからです。また、物流資材の見直しも重要なファクターであり、消耗の早い段ボールの往来による物流資材から、プラスティックの通い箱、直近では女性の多い店頭販売員にも優しい合成繊維による衣料品中心に便利なエコビズボックス(ICチップ付きで箱の在庫管理も可能)等、開発も進んでいて、段ボール使用から見れば大きなコスト改善にも寄与している具材もあります。
それにICタグの利用による在庫管理システムの効率化を踏まえ、オムニチャネル化にはいろんな角度からの物流改革によるコストカットをベースに、掲載するモノの提案の方法を議論していかないと片手落ちになりやすいので、3方(お客様、仕入先を含む企業、株主)が満足を享受するビジネスモデルに改革し、結果ハッピーになる方向に導くべきです。その為にもより良い結果を残すために、基本になる考え方をしっかりと礎に置く必要があります。
オムニチャネルにおけるPB開発
店頭でのショールーミング化を避けているデベロッパーや小売業が少なからず存在し、場所貸しサイトから撤退する企業も一部発生してきており、今後のネット通販の在り様が問われつつあります。つまり、店頭で品質や素材の風合い、サイズ、着心地等を確認し、その商品を小売業でなく、生産しているアパレルより直接ネットでの購買をされる事により、商品説明等を徹底している小売業は自社に売上と利益を残せない状態なのです。実はその接客技術こそ、ネット上には中々存在しないサービスであり、リアル店舗とネットの融合に向けての一歩になるのです。その為にも、小売業としては売場の中心に自社PBを開発し、展開することが今後の自社オムニチャネル化への一歩となるのです。
ここで初めてテイスト軸のライフスタイルブランド開発が必要不可欠になってくるのです。大きく2テイスト(例えば英米、仏伊)に区分した必欲品の衣食住ブランドを確立し、衣料品で言えば、メンズ、レディス、キッズと1テイスト1ブランドでくくり、アダルトとヤングの差はサイズスペックにて区分し、ノンエイジ対応とし、そのテイストのリビングや食提案までを1テイスト1ブランド構築とし、大きく2テイスト2ブランド展開を基本(必需品は別途1ブランドで)としたPB戦略を打つのです。これを店頭の中心にて判り易く展開し、同様な表現のカタログとサイトにて表現して、オムニチャネルへの第一歩として踏み込むのです。
このような考え方は、フルラインに近い商材を持っている百貨店、GMSにおいてこそ十二分に展開可能なのです。要は、自社顧客マーケティングを徹底して実行し、その既存顧客にこうあって欲しいとの提案を続ける事が必要なのです。
お客様が必要としているモノやコトを探して、お客様の前に置くといった手法のみでは、これからの時代は生き抜く事が難しくなります。自社の企業ヴィジョンを明確にして、そのヴィジョンを自店のお客様に提示して、共感を頂く努力の上、お客様に指示して頂く方向性が求められています。小売業は消費を考えられるお客様を育てる使命があるのです。
小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。
2014.06.30
株式会社 オチマーケティングオフィス 生地 雅之
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