株式会社オチマーケティングオフィス 


<92>百貨店、GMSのこれからの経営戦略-2

(ビジネスモデル構築可能な人材育成)


政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。

また、百貨店、GMSの業態の低迷は継続しており、百貨店の一部のラグジュアリーのみ追い風が吹いているのです。しかし、自社努力の改革で成長している企業は僅少なのです。それもその企業のすべてではなく、自社の強い部分のみなのです。

百貨店、GMSにおいては三気(天気、景気、人気)に左右されることなく、安定的経営ができる盤石な基盤をここ3年位で構築しておく必要があります。いままでもやってきていると言う声が聞こえてきそうですが、出来ていないのは判っていない、やっていないのに等しい事と自認すべきです。他力(三気)任せでは何も改善しないのです。企業は人なのです。

いままでやってきた手法が本当に適しているのでしょうか?一度立ち止まって振り返ってみましょう。答えが計画通り(誰が、何を、いつまでに、どの位、どのような方法で)にこなしていないなら、何かに問題が生じているのです。その解析と修正作業が本当に実行されているのか甚だ疑問です。自分に厳しく律すれば、自分の原因がある事が浮き彫りにされてきます。自戒がないと成長はありえません。「小さく産んで、大きく育てる」が基本で、迅速性は必要ですが拙速は厳禁です。

例えば、良い商品を開発、仕入できる企業が売上の低迷、利益が増加しないと言ったことが往々にして存在しています。何故そのような状況になるのでしょうか?
原因は、
1.良い商品が自社顧客にとって良いモノなのでしょうか?自社商品を第三者の目で見て本当に他社を駆逐できる程差別化できている商品なのでしょうか?自問自答すべきです。
2.その良いモノが自社顧客に必要量(適正)の制作、仕入ができているのでしょうか?
3.その良いモノが自社顧客に判り易い場所に置かれているのでしょうか?
4.その良いモノを必要としている消費者(自社顧客+新規客)に適正な手法で伝えられているのでしょうか?
この流れを構築できる経営者がどの位存在しているのでしょうか?

経営者は現場に精通している事が理想ですが、現場に口を出し過ぎてはいないのでしょうか?自分が現役時代はこうしていたとかをONE-OF-THEMでの提言はまだしも、それを踏まえた上でそれ以上の手法を編み出し、先輩の案を覆せる土壌(環境・雰囲気)を構築出来ているのでしょうか?決定するまでは徹底した議論を交わし、決定後は反対意見の方までが協力できる企業がどの位存在しているのでしょうか?

特に良いモノを作れば売上、利益が上がると勘違いしている企業や経営者がまだまだ多いと感じられます。前述の良いモノをどのように売上、利益に結び付けて行くかをオペレーションできる経営者の育成が望まれます。自分達で計画し、経営層に納得して頂き、事業を推進し、計画通りに進行しない場合は何時の段階でGIVE-UPするかまで事業立案者は腹に決めての事業推進をすべきなのです。

小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスモデルを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2014.02.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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