株式会社オチマーケティングオフィス 


<86>体育の日のイベント

政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。
何故かと言えば、大半の企業の経営者達は実は現状にそう切羽詰まった危機感がなく、過去の成功体験にしがみつき、不景気という台風が過ぎ去っていくのを待っているのです。
しかし、一部の企業の経営者達は、現状を踏まえて先々を予測し、経営の舵取りを難しくても、信念を持って挑戦して行こうとされています。

体育の日は、メンズ業界ではあまりビッグなイベント時期ととらえられていません。しかし、10月の「体育の日」は大事な時期なのです。
とくにニューファミリーのお父さんたちにとっては、子供の運動会シーズンです。地域によっては、春先の5月頃に済ませてしまう学校もありますが、10月は全国的にスポーツの月ととらえられています。

この時期はコンビニの本部は、お母さんが弁当を作れない、作らない家庭のために、子供の好きな鶏のから揚げ弁当の仕入れを増やすように指導を出していますが、運動会需要を取り込むための売場対応に躍起となっているのです。
主役は子供ですが、お父さんにとってはかわいいわが子の「晴れの舞台」をビデオに収める機会なのです。そのときにお母さんは、お父さんのお腹の出た姿や、みすぼらしいスウェット姿を、同級生の母親や近隣の女性たちに本来は見せたくないものです。また、子供にとっても、「おまえの親父、ダッセーな!」と言われたくないものなのです。

そこに、仕掛けのポイントはあるのです。店頭での体育の日・スポーツの日に向けたウエアの提案や、運動会はなくても、行楽シーズンであることから、トラベルウエアとの2本立てのイベントやフェアも考えられます。
商品については、何もトラッドテイストやキャンパスイメージでくくらなくても問題はありません。コムサ世代ジュニアが対象ならば、例えばモード系のコーディネートにサッカーボールをセットしてVP表現するなどの工夫で、十分にコンテンポラリーなスポーツイメージをかもし出せるのです。

このイベントに向けては、ウィークデーに女性向け、奥様向けに種蒔きをしておく必要があります。店頭に来る女性たちに向けて、「体育の日に、カッコ良いお父さんになってもらうには」(イケダン=イケてるダンナ作り)との趣旨で、店頭フェアを実施すべきなのです。女性は同性の目が一番気になるものです。その感覚を取り入れた訴求が重要です。
店頭POPのキャッチコピーや、VPの表現に配慮して、女性客を売り場内に導入することがポイントなのです。

仕掛けの期間も、9月後半から10月中旬までの1か月間を設定しましょう。ついては、近隣の学校の運動会日程を調べておく必要があります。
また、顧客リストをチェックして、小学生、中学生、高校生等がいる家庭の奥様にダイレクトメールを出すのも良いアイデアです。ダイレクトメールの表現も、単に運動会向けを意識したストレートな内容でなく、「運動会では、カッコ良いパパに変身!」と言った同性の目を意識する表現を使って、一度売り場に来店していただけるように手書きのメッセージを添えて、発送すべきでしょう。

お客様は常に変化しています。それなのにメンズ業界は変化に対応できていません。それは、消費者の視点に立ったマーケティングとマーチャンダイジングが欠けているからなのです。常にお客の心理を読んで、来店の頻度を高め、潜在的な需要の喚起を促すことがどれだけ重要かを認識すべきなのです。痒い所に手が届く対応(商品からサービスまで)をすれば、売り上げは自然と付いてくるものなのです。
難しく考え過ぎないで、もっとシンプルにお客の立場になって考えて見れば、必ず何らかのヒントが見えてくるはずなのです。

衣料品売場の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズにフィットできる商品提案を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。是非とも健全なる売場構築に早急に改革できる事を祈念致します。

2013.09.30
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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