株式会社オチマーケティングオフィス 


<7>団塊の世代(男性のファッションへの関わり方)

1.時代を捉える視点の移動
                     現状                   今後
 a)良い商品の定義       低価格商品             付加価値商品
 b)価値観             会社・仕事              自分・家族
 c)時間                早い                 遅い・ゆっくり
 d)仕事                結果                   経過

団塊の世代の多種な消費者の多用なニーズは
十人十色どころか、十人百色に広がっています。
これらをマス・ターゲットとして捉えると大きな間違いを生じます。
しかし、彼らの行動はある一定のパターン化している事が判ります。
「モノ」より「コト」に視点を移動させているのです。

2.ドレス・コード
a)オン・シーンのシェアの低下
全体的にはビジネス・シーンのウエイトが低下し、オフ・シーンのウエイトが高くなります。
しかし、定年後も働きたい人、働かざるをえない人のシェアも80%を超えています。
その働き方に変化が出てくるので、スーツの需要よりも、
汎用性のあるジャケットの必要性が高まってくると言えます。
ライン部門の仕事から,スタッフ部門の仕事へ、理事や顧問、非常勤役員、嘱託、パート等
のポジションでの仕事においてはスーツの需要は低いのです。

b)オン・シーンの変化
まず、スーツからネクタイを外したクールビズ、ウォームビズ等のドレスダウンも
1つの捉え方であり、30〜40歳代のみではなく、団塊の世代までにも広がりつつあります。
また、ジャケット&スラックス・スタイルによるカジュアルアップの仕事着も
大きな潮流になってきます。
ジャケットは完全オフのお出掛け着にも使用できる汎用性の高いものが利用され
てきます。

c)オフ・シーンの変化
今まではオフ・シーンというと脱スーツでブルゾン、カバーオール等の
完全遊び着が主流でありましたが、
団塊の世代の1世代上の人々のカジュアルウェアがゴルフウェアであり、
土日と言えどスーツ・ジャケットのノーネクタイであった時代とは異なり、
目的に応じてのオフジャケットの必要性が高まってきています。

d)カジュアル・アップの台頭
つまり、土日の都心へのお買物や美術館、博物館等へお出掛けのような、
知的な行動パターンの時にはノーネクタイでのジャケットを羽織る傾向になってきており、
近隣の公園などを散歩するなどの時間を過ごす時などはカバーオール等の
カジュアルウェアを着用するといった目的、シーン、オケージョン別に
着用シーンが変化してきています。

3.団塊の世代の男性の今後のファッションへの関わり方
まだまだ奥様の代理購買のウエイトは高いが、自由な時間も増えつつある中で、
奥様と一緒に買物をする傾向にあります。
まず奥様にとっては,「貴方のご主人は素敵ね!」と言われたいのであり、
周りの知人からご主人をダサく思われたくないのです。
よって、スーツを脱いだ後は、少しお洒落に見える小綺麗なファッションを
身に付けてもらいたいという願望があり、
男性にとっても今まではねずみ色一辺倒であった世界から、
色味のある世界への移行も進んできます。
元々、団塊の世代はVAN,JUN世代であり、
若い頃には日本のカジュアル・シーンの基盤を創造してきた世代で、
トータルカジュアルの概念を持った最初の世代でもあります。
よって、昔とった杵柄のように、色味の世界に戻るのはそう難しくはないのです。
ただ、現在の着こなしを知らない人々が多いので、
きっかけやサポートがあれば大きな需要が広がってくると言えます。
趣味の世界でも、男性は女性とは全く異なる行動パターンを取ってきています。
ご主人が定年を迎えるに当り、女性は新しい趣味やカルチャーに意欲を高めて参入
しますが、男性は昔やりたくてやりきれなかった事への郷愁があり、カメラいじりや釣り、
ロックバンド等一度は触れた趣味に戻る傾向が高く、最近のヤマハ音楽教室の中高年の
如何に多い事でしょうか。
時間にゆとりが出てきて、夫婦での時間消費が増加する中、
夫婦旅行といったシーンも多く生まれてきます。
よって、団塊の世代の男性のこれからのファッションとの関わり方は、
時間のゆとり、生活のゆとり、妻または家族への思いやり等をベースに、
「モノ」よりも「コト」を重視した「量」より「質」への
ファッションに傾注してくる事は否めない事実です。

これらを包括的に把握し、目的を絞ったマーチャンダイジングによって、
団塊の世代を中心としたコアターゲットに向けたカジュアル・ファッションの仕掛けが
重要であると言えます。
特にブランドを資産と捉え、ブランド価値創造による
団塊の世代のライフスタイルの確立を目指すビジネスの重要度が増すものと考えます。

これからのマーケットの推移を予測しながら、顧客視点によるマーチャンダイジングの
徹底が、必要な時代に突入してきています。
この実行が、皆様の企業の発展に寄与できるものと確信しています。

2007.03.30

株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


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