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<53>百貨店衣料品売場のやるべき事
リーマンショック以降低迷を続けていました百貨店売上が少しずつ底打ちし、浮上しつつあります。
そこで今回、百貨店売上が今後、安定基調に戻るためにクリアすべき課題について掘り下げてみます。
今後百貨店への追い風は吹くかも判りませんが、リーマンショックという台風が過ぎ去った後は、
従来の百貨店形態では生き残りません。
また、アパレルも同様で、これからはアパレルのM&Aの時代とも言われています。
1.基本は売場
小売業ビジネスは売場(WEBは画面、カタログは紙面)が基本です。
売場の活性化のために、売上向上に向けての商品企画の改善、売場構築の改善、販売接客レベルの向上、
それに伴うオペレーションの業務改革等が望まれます。奇策はありません。
まず自社で出来る事と出来ない事の見極めが重要です。
出来る事は自社の力で、出来ない事は他の力を借りる事なのです。
他の力もただ借りるのみではなく、自社内全員参加方式でのOJTで、自社内にそのノウハウを植え付けて行く事により、
体力が付いてくるのです。
2.現場力のベストを尽くす
現在の売場の販売員はベストをやっていると考えているのですが、本当にベストを尽くしているのでしょうか?
自分の知識、経験の中でのベストはこなしているのでしょう。
また、前年踏襲型でやっていればほぼ大丈夫だろうとの考えがないとは言い切れません。
実は前年踏襲でない部分はどの位あるのでしょうか?
また、自分達の知識、経験がお客様のすべてを満足させられているのでしょうか?
もっと研鑚を積んで、世の中(百貨店業態以外も)を見渡し、自店のお客様の為になることができないのかを見つけましょう。
既存の売場で、既存の商品で、既存の販売員で、什器レイアウトと商品レイアウトとVPを変更することにより、
お客様に見やすく買い易い売場が再現でき、当然、既存前年比は難なく達成できるのです。
3.店頭販売強化
もう一つの考え方は、リーズナブルなITを導入して後方部門の業務を半減させ、余剰人員を退職させずに、
教育し直して店頭へ増員する事です。
店頭はお客様との接点を多く持つことが売上増加に繋がるのですから、店頭販売員の増加が必然です。
しかし、現在の状況下では単なる増員は不可能です。
よって、上記リーズナブルなIT投資により業務改善を行い、それに伴う余剰人員の店頭強化への道筋を作る事なのです。
4.MDの自主性
現場が研鑚を積んでベストを尽くして、ある程度は伸びると思いますが、それでも限界は出てきます。
現場のベストを尽くしても売れなくなる時期が来るものなのです。
売れなければ商品・ブランドと売場ゾーニング・リレーションに問題があるのです。
いままで衣料品売場は自分の目を捨てて、他に依存し過ぎて売上を落としてきたのです。
自分達のお客様を自分達の目で確認して、そのお客様の欲する商品を自分達でバイイングしてこそ売上が取れるのです。
そこで既存顧客のマーケティングをお客様目線で実施していただき、それによりブランドのリアルターゲットを再確認し、
それに向けて時代に即したバイイングが出来ているかを求めるのです。
その為にはバイヤーの育成が急務です。
売場の将来はバイヤーの組み立てるMD如何によって、売上の拡大縮小が余儀なくされるのです。
5.ネットビジネスの方向性
Eコマース事業はまず得意の食品から入り、ディリーユースでのトレーニングを積み重ね、慣れてから他のカテゴリーへの
推進が望ましいのです。
まずは、自店の顧客ターゲットの把握、そのターゲットへのNETは可能かのマーケティング、可能な部分からの
導入が最適でしょう。
6.最後に
要は、自店の顧客マーケティングに不備があるのです。徹底した顧客マーケティングにより、自店既存顧客が自店に
「何を提案して欲しいのか?」の把握とそれに対する的確な提案商品のラインナップとそれを必要とする顧客ターゲットへの
的確なアプローチが必須条件なのです。
そして、その情報を流すチャネルの見直しが欠けているものと考えます。
「困っていない」と言われる人もあるでしょうが、困って無ければ売上不振にはなりません。
その人達は「困っていることに気が付いていない」のです。
今一度自分に厳しく現状分析をされるべきです。
出来ていると考えた瞬間から自店の成長は止まっているのです。
また、自分が欲しい商品はどの様に探しているのでしょうか?
自分が正価で購入というお客様になる事において、商品情報の流し方や売場表現の不備が認識できるのです。
その時に初めて顧客目線が身に付くのです。
この内容はお客様と接点を持つGMSやアパレルにも適用できるのです。
「顧客視点での課題(商品と価格のバランス)発見、プロの技での改革」が必要です。
是非とも健全な店頭売上に向けて、小売、アパレルの早急な戦略再構築を祈念致します。
2011.01.27
株式会社 オチマーケティングオフィス 生地 雅之
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