株式会社オチマーケティングオフィス 


<45>衣料品の適正価格@

リーマンショックの後の景気の大幅悪化に伴い、ファストファッション小売業の台頭や
GMSの単品追求型価格破壊商品の登場により、本来のファッションビジネス自体が
方向を見失っているように見受けられます。小売業の百貨店、GMS、専門店や
それに供給しているアパレル、商社がこの難局を乗り越えるためには、マーケットを
お客様目線で見ない限り、妥当な解決策は見出せないのではないでしょうか?

1.お客様の必要な商品
衣料品の低価格化はユニクロのバーチカルな垂直統合の賜物で、ジョルダノに始まり、
GAP、H&M等のファストファッションが全盛時代であり、小売面を多大に持った流通小売業
が成功していることが多いのです。
しかし、お客様が必要とするものであればそれが正解であり、否定する必要はないのです。
ユニクロに納入している商社やメーカーも儲からないと言いながら取引を継続しているのは
考えると判るのですが、要は儲かっているのです。赤字なら取引していないのです。
ヒートテックやフリース等、価格より付加価値の上回っているものが売れています。
お客様がそれなりに満足し、小売業に利益が残り、そしてメーカーにも少ないとはいえ、
利益が残らないと商売は続かないのです。
小売業の仕入額との戦いは厳しいものがありますが、この要求が無ければメーカーが
ここまで生産改革できたのでしょうか?
仕入額の低下と品質面の低下とは比例しやすいものですが、そのバランスを崩したものは
店頭からお客様に流れて行く事ができないのです。
よって、仕入れ側は店頭のお客様の目線を持って、どこまで品質を下げれば購入されなく
なるのかを見極めるバイヤーを育成しなければならなくなっているのです。

2.品質と価格のバランス
品質とは履けないスラックスや着たら破けるシャツといったものではなく、日用品(必需品)なら
最低何回のクリーニングに耐えて、形状や風合を維持できる商品であり、ファッション商品(必欲品)
であれば、これを着たら「かっこよく見られる」とかをクリアしている事です。
このように、お客様、小売、メーカーが「三方一両得」にならないと良い商品をお客様にお届
けできないのです。これは何も低価格商品のみに通用するものではなく、高価格商品でも、
中価格商品にも適用できるのですが、価格を上回る付加価値を表現できていないのです。
この付加価値は、品質のみでなく、ヴィジュアル面、アメニティ面も含め、多岐に亘る項目を
見直し、快適空間を構築することが必要不可欠です。
まだまだ世の中には低価格一辺倒ではありません。中産階級意識の消費者の底辺が、
下に少し移行しつつあるのですが、米中のような完璧な二極化にはなっていないのです。

アパレルや小売業はもう一度お客様目線を取り戻し、自分が自分のお金で、この売場から
商品を購入するのかといった自問自答をしていくべきなのです。その目線が結果として、
売場や商品の改善に繋がるのです。これらの実行が、今後の発展に寄与できると
確信しています。

2010.05.31
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之



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