株式会社オチマーケティングオフィス 


<40>東関東地区リサーチ情報M
=たまプラーザテラス+ヴィーナスフォート・アウトレット

11月13日(金)にたまプラーザテラスを、12月11日(金)OPENのヴィーナスフォートの
アウトレットを雨の中、初日に見てきました。

1.たまプラーザテラスのグラスウォーター
GRASSWATERはワールドの中でレベルの高いショップであり、現在のSCには一番マッチ
しているものと思われます。UAのBEATY&YOUTHのような少しカッコ付けたヤング層
ではなく、商品はベーシックでありながら、コーディネイトでスタイリングを良く見せる
本来の提案力を兼ね備えたものと映ります。西宮ガーデンズとこのたまプラーザテラスの
2店舗しかないようですが、今後可能性を秘めています。

いままでのワールドと言えば私見ですが、メンズはTKやスチムラス等、ヤング向け
「安かろう、悪かろう」的な商品群でショップを展開しており、よく見えませんでした。
スチムラス等はMENS-JACKETのセンターベントが女性向きに割られていたのです。
男服の基本を判っていない様なデザイナーがメンズを携わっていたのです。
敢えて判っていて、基本を崩していることもありますが、メンズには崩して良い部分と
悪い部分が現存しているのです。このセグメントされたフレームの中で遊びを
提案する事が重要です。
また、レディス雑貨についても、使い捨てのビニールのバッグ等の店を、店名を変えた
だけの手法で、そこここに出店しています。看板を架けかえてもほとんど誰も気付かない
状態です。

ドレステリアーの様に、グレードの高い商品群も十分出せる力があるのですが、
この様な展開をメインにしていれば、ドレステリアーも同様に見られてしまいます。
少なくともタグや品質ラベルから潟潤[ルドの文字を消すべきでしょう。
そうすれば、ドレステリアーの本来の問題点や課題が明確に浮き彫りになり、
修正のための対策も打ちやすいものと思われます。

卸から消化への転換がいち早く進んだ企業ですが、変換しかかっている業界の
次の一手に苦悩している状況かと思われます。
しかし、時代を変革されてきた素晴らしい経営者がいらっしゃるのですから、
期待しています。

2.たまプラーザテラスのRIGHT−ON
先日の原宿のコレクトポイントのBRAND-MIXやたまプラーザテラスのRIGHT-ONの
テイスト別ブースなどは頑張ってもあの程度しかできていないのです。
特にたまプラーザテラスのRIGHT-ONは入り口にMENSがなく、LADYSとKIDSであり、
MENSは奥まった場所に大箱のブースを3つ区分けしています。その3つのブースの差も
カラーで明確でないので、商品を置き間違えても誰も気が付きません。

確かにSCは母子での集客がメインではありますが、自店の持ち味(MENS-STARTの
SHOP)であり、それを崩してまでの展開は別にRIGHT-ONでなくても、ANY-FAMでも
何でも良いと思います。LADYSの売上が大きくなってきていると思われますが、
LADYSとしてRIGHT-ONでないといけない理由が核たる位置付けにならない限り、
時期早尚と思います。
もう一度自店の基本に立ち返り、強い部分と弱い部分を全員で共通認識して、
改革を期待しています。

3.ヴィーナスフォートのアウトレット
ヴィーナスフォートは、いままでは「ゆりかもめ」や「りんかい線」というルートでしか
行けない不便な立地であり、わざわざその目的のために行くしかない場所にあります。
10年間で閉鎖との話もありましたが、実績ができると継続されるものです。

いままではSCでしたが、今回は3Fにアウトレットを49店デビューさせました。
この館の造りは迷路状態であり、館内は薄暗く圧迫感があり、消費者を不安にさせる
環境でありました。よってSCにおいては他のOPENで明るく、ストレートな導線を引いた
見やすいSCに流れ、SHOPもどこにでもある程度でそう特筆できるものではありません。

今回のアウトレット誘致は3F=ONE-FLOORに集約し、23区初のアウトレットであり、
新規出店も多く結構見応えのあるものでした。
いままでの迷路型導線が効を奏し、まるで宝探し状態と映ります。
同じ迷路型導線と言えば、IKEAやドンキホーテ等がありますが、それらとは全く異なる
表現であり、興味深いものがあります。

出店SHOPは、ガリアーノ、アルマーニ、アニアハインドマーチ、ビルケンストック、
バラクーダ、アンドAを始め、ノーリーズ、LEVIS、32DAYS(UA)、LASTCALL、
FRANFRAN等が出ています。
メインゲートから一番奥の飲食もフードコート中心で、まともなレストランは2Fに揃って
います。これは従来のままに等しいでしょう。本来なら逆の方が良いでしょう。

課題はゆりかもめ青海駅から多少雨に打たれる事であり、晴れの日を意識した造り
なのです。吹き抜けの重要性を否定するものではありませんが、ららぽーと新三郷や
過去のマイカル本牧などとそう進歩していないのです。その点ラゾーナ川崎は吹き抜けが
あっても、循環導線を上手に構成していますので、傘なしですべて廻れます。

もう一つの課題はメイン循環導線の中にあるサブ循環導線が判りにくく、暗くてお客様が
ほとんど気付かないのです。つまり、メイン導線から入る入口の幅が狭く、中に店がある
とは思えないです。今回のリニューアルでこの入口を広げるともっとサブ導線エリアの
SHOPにお客様が傾れ込んでくるものと思われます。勿体ないものです。

初日には雨の中、朝一にはかなり並んだようですが、昼過ぎには一段落していました。
しかし館内は大変な混雑状態で、歩くのも疲れる状況です。
ただ初日でさえ入店客がないSHOPもあり、プロパーの苦戦を物語るものです。
ハンティングワールド、マルニ、アルマーニ等は厳しい現実に苛まれるでしょう。
この様なBRANDは軽井沢ショッピングプラザでも同様でした。

しかし、逆に混雑しているSHOPは、32DAYS(UA)でフラクサスやコレクトポイントを
意識した自社BRANDの編集型SHOPであり、三角型の角地を有効利用した構成であり、
三角の一番長い面の入り口がお客様にとって入り易い雰囲気を作り出しています。
もちろんBRAND構成も一つ一つに匂いが異なり、差別化もある程度見えていますので、
好評と映っています。

全容を見るとなかなか興味深く、これから2F+1Fもアウトレット化していくでしょう。
既に百貨店をメインとしていないワールドやラグジュアリーBRANDや雑貨SHOPも
どんどん出店してくるものと予想できます。
SCのお客様とは競合しにくいので、共存共栄はあるのですが、前述の迷路型導線では
どこでも見られるSC-BRANDにとっては厳しい環境なのです。

このアウトレットのお客様はいままで大半は百貨店のお客様でした。しかし、不透明な
経済環境の中、良いものを安くのトレンドは崩さないで、百貨店からアウトレットに
流れ出しています。当然百貨店で人気のないBRANDはアウトレットでも苦戦して
いますので、百貨店BRANDで順調でなければ、苦し紛れにアウトレットへ逃げる方針で
あれば先はなくなるでしょう。

オーバープロダクト、オーバースペースの環境下、これからの日本の消費構造の変化を
鑑み、「お客様目線で売場や商品を見て、手直しはプロの技」といった事を徹底しながら
差別化する事は至難の業ですが、諦めずにチャレンジしていく事は永遠の課題でしょう。
これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドとグッズブランドの違いを
認識され、各ブランドの価値創造による消費者のライフスタイルの確立を目指す
ビジネスの重要性が増すものと考えます。これらの実行が、今後の発展に
寄与できるものと確信しています。

2009.12.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之



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