株式会社オチマーケティングオフィス 


<21>百貨店の顧客ターゲット設定

百貨店、GMSの衣料品売上が苦戦し続けています。
百貨店の衣料品売上が苦戦し続けています。
「みんなで悪ければ怖くない?」決してそうではありません。
商品提案の不明瞭さのみでなく、売場が誰に何を提案しているのかが、判り難くなって
います。
百貨店の経営者が自店のお客様の推移を細かく分析していても、お客様の心理を
把握できていないのです。
よって、主ターゲットは把握できても、次に確保すべきターゲットを見失っています。
そこがぶれているから、売場構築の方針を明確に出せない事や、商品構成やブランド
構成にも悪影響を及ぼしている事も重要なポイントです。
そこで今回、百貨店の衣料品ターゲットを紳士服中心に掘り下げてみます。

1.現在の百貨店の衣料品ターゲット
まずは自店の売場の顧客ターゲットの把握・認識が重要です。
既存顧客に目を向け、彼らの購買履歴等から、今後の提案すべきブランドや商品を開発
し、自店のブランドに欠けているのかを検証し、あれば表現を強化し、無ければ導入を検
討すべきでしょう。
要はまず既存顧客への提案を強化し、顧客の自店離れを阻止する事です。
そう簡単に新規顧客は確保できない事と、既存顧客が自店の現状の品揃えで満足して
いないといった事が挙げられます。
この既存顧客をメインターゲットと想定すると、54歳〜63歳位(団塊の世代が中心)が
多いのが一般的です。
まず、この既存ターゲットは自店では精一杯抑えているのに関わらず、ジリ貧になって
きているために、次に10歳下の44歳〜53歳を確保しようと考えている店が多いのです。
しかし、彼らは自店に一度も来たことがないのが実情です。
要は親(70歳以上)に一度も自店に、連れて来て貰ったことがないのである。
その親達は違う店で購入されていたのです。現在は通販も利用されている可能性も。

2.今後の百貨店の衣料品ターゲット
現在の百貨店の衣料品ターゲットの次の選定は、団塊JRを裾とした層(34〜43歳)
を狙うべきです。
何故かと言えば、自店はいままで団塊の世代が百貨店の主たるお客様でありました。
当然の如く、その子供達も親に百貨店に連れてこられ、買物や食事等をしてきました。
しかし、彼らが大人になって、自分で自分の衣料品を購入しようとしても、欲しいものが
ないのが現状です。
彼らの欲しいものはどこに行ったのでしょうか?
丸井、セレクトショップ、2プライスショップ、SC等に少しずつ喰われてはいますが、百貨
店に親が来店されていた子供達は、そんなに安い物ではなく、そんなにトレンド性の強い
物でなく、品質、グレード感があり、少し時代に合ったベーシック商品が必要なのです。
しかしながら、その様な売場はまともに存在していません。
彼ら(団塊JR)を満足させられれば、その子供達も百貨店に戻ってくるのです。

3.世代を繋ぐターゲット戦略
要は、百貨店顧客ターゲットは家系を追うべきで、お父さんやお母さんから子供達まで
行き慣れた百貨店に来店していただき、孫の世代までを大事に育てる顧客作りに邁進
していただきたいのです。
60歳が既存顧客の中心年齢とすれば、次の40〜50歳を急に狙ったからと言って、即
来店される訳ではありません。単なる新規顧客を1から狙おうとしているのです。
もっと自店に来易いターゲット(その子供達=33歳位)に目を向けるべきでしょう。
彼ら向けのブランド編成、平場構築など、やるべき事が山積していますが、やれば必ず
お客様は戻ってきます。
彼らの気持ちを代弁すれば、「百貨店には欲しいものが無い」であり、用意して告知すれ
ば、彼らは百貨店で購入したいのです。
例えば、紳士服2着セールを打てば、いままで来店されていなかった団塊JRも来店され
ているのです。
彼らはこの価格でなくても良いのです。百貨店で若者向けスーツを買ったと言う満足感に
浸りたいのです。それを「価格だけ追求している人々」と誤解しているに過ぎません。
何故かと言うと革小物や靴などの動向を見ていると結構ヤングタイプが動いています。
しかしながら、紳士服売場は全く彼ら対応の売場が出来ていません。
PAUL-SMITH,BLACK-LAVEL、CK、セオリー等を欲しがっているお客様ばかりではあり
ません。NO-BRANDの2プライススーツが動いているのでも覗えます。
当然、レディスでも同様です。団塊JRは既に子供達はトドラーです。
夫婦で来店されると言う事は、当然子供達も来店されているのです。
要は家系・家族をまるごと取り込もうと言う考え方に立てば、本来の地域密着型顧客
対応と言えるのです。

「顧客視点での課題(提案と売場のバランス)発見、プロの目線での改革」が必要です。
是非とも健全なる店頭売上になるように、百貨店衣料品の売場を早急に再構築できる事
を祈念致します。

2008.06.01

株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


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