株式会社オチマーケティングオフィス 


<122>本業以外の事業やMD展開


小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判る事は事前に抑えておくべきです。
先日発表されました三陽商会の新事業提案の会社とのコラボやクイーンズ伊勢丹の本来の路面店展開以外の百貨店への参入MDや品川アトレへの新業態MDによる展開等はいかがなものでしょうか?本業で安定黒字化が出来ない企業に新規事業が成功できるのでしょうか?

三陽商会はバーバリーを失い、代替え的なマッキントッシュやくレストブリッジ等の展開で苦戦を強いられ、ブランド削減とリストラを余儀なくされています。また、百貨店業界のEC(売上の1%程度で大半中元・歳暮)の苦慮に際し百貨店ブランドのモールサイトを構築し、リアル店舗に内在庫の共有化で百貨店の売上を下支えしようとの施策も中心的に動かれていますが、三越伊勢丹以外の百貨店や他のアパレルは冷ややかな目で見ている状況です。まずは足元からではないでしょうか?業界への考え方は素晴らしいのですが、胆力のある現在の社長以外にはこの苦境を乗り切れる人はいないのですから、まずは自社立て直しが優先されるべきではないでしょうか?

三越伊勢丹ホールディングス傘下のクイーンズ伊勢丹(三越伊勢丹フードサービス)も通常の路面店での売上減少に歯止めが掛からず、赤字の拡大に喃々としていますが、赤字店舗の閉店もされつつはありますが、黒字化ができていないうちに新MD(百貨店用の品揃え))新規業態店の出店は投資経費もあり、ユニクロのように初年度から黒字化を目指せるものでもなく、赤字の拡大の後押ししてしまうビジネスモデルではないでしょうか?まずは、既存事業の立て直しが最優先であり、売上を伸ばして利益を確保するMD手法ではいつまでも業績の回復は不可能です。

両社とも売上は既存店については前年並みを目標に、社内においては既存店は前年割れを目標にしての販売管理費を削減したり、展開店舗に合った品揃えと奥行きの設定による消化率の向上と無駄な仕入れの排除を最優先したMD手法を取り入れるべきです。新規店や新ブランドはは本部予算なし(経費は別)で組みましょう。現場も本部も精一杯やっているから、これ以上のコストカットはできないと考えている点~間違っているのです。売上を伸ばしての利益確保が目的である限り知恵はでません。

現状を的確に把握し、その欠陥に手を入れて改善していかないと取り残されるのです。経営者は企業の理想をしっかり持ち、現実を的確に把握し、その差を直線で埋める施策をスピード感覚を持って、実行することが必要不可欠な時代と思われます。
健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2016.08.29
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


Copyright@2016 Ochi Marketing Office.All Rights Reserved.