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<103>店頭売上の課題と対策=ローカライズとカスタマイズ
小売事業は店頭売上が前提です。勿論その背景には利益を確保できるビジネスモデルがセットされていなければ、意味がありません。このビジネスモデル構築は重要ですが、別の機会に提言させていただきます。それがセットされていれば、小売業は店頭売上を維持・向上させる事が必須になってくるのです。今回は店頭売上を確保する事について記載してみます。
店頭売上不振の原因
自社ではなく自店のお客様のニーズと商品提案のズレ以外にはないのです。自社でなく自店というのは地域毎にローカライズが必要だからなのです。
対策としては、その自店顧客のニーズ(顕在需要のみではなく、潜在需要までも)を把握して、それに向けて商品(モノ+コト)を提案することなのです。
判り切っていることなのですが、店頭売上が低迷している店があるのも事実なのです。
つまり、顧客マーケティングに不備があり、それに向けた商品提案にズレがあるのか、顧客マーケティングが万全で、商品提案も的確なのですが、自店顧客にその商品提案を伝えるプロモーションに不備があるのか、あるいはその両方に原因があるのかに過ぎないのです。
自店のお客様は誰か
1番目に重要なのは既存購買客であり、そのお客様にもう1枚購入して頂くアプローチとリピータ化(購買実績者)であり、同テイストの幅出しが必要です。
2番目に重要なのは、既存購買客の他カテゴリーへの買い回り誘導なのです。同テイストの他カテゴリー商品の提案が必要です。
3番目に重要なのは既存来店客の不購買客へのアプローチであり、折角来店されているのに、欲しいものがないから手ぶらで帰られるのです。上記1番の同テイストの幅出しも効果的ですが、それ以外では欠落しているテイストの商品を準備して対応する事が必要です。
4番目は今まで一度も来店されていない新規顧客の獲得ですが、これが一番難しく自店を必要とされていない場合が多いのです。よって、当面外して、上記1~3をメインとする事から始めるべきでしょう。
カスタマイズされた商品提案
自店独自の顧客に適したオリジナリティのある商品(ブランド)展開が必要であり、その為にもテイスト別ライフスタイル型売場構築が必要です。貴方の為に用意しました=PBは価格が安いのみでなく、NBより高いものも存在して当然なのです。
衣食住横串を刺したPBで構築しても、ブランド編集でも可能ですが、テイストで統一する事が前提です。要は一人のお客様のニーズに沿った売場が結果として多くのお客様の共感を誘い、売上の拡大に繋がるのです。
1番目にはテイストの絞り込み(アレもコレもではなく、アレでなくコレを!)
2番目には同質化品目の集約
3番目には不足品目の幅出し
この3つを各店のイメージ顧客ターゲットに合わせてのカセット展開まで
商品仕入れの効率化
であり、「少ない商品で如何に高い利益を産むか」への挑戦
1番目には商品部は各店へのメニュー提示(各店の顧客層に適したブランド展開)
2番目には数量ベースではなく、金額ベースでのプロパー消化率、セール消化率、最終残率の固定と逆算による仕入枠の設定)
3番目には売場SKUによる展開品番数と色数の絞り込み
「結果論=金太郎飴MD」によるチェーンオペレーションとローカライズバランスの確認
現場対応力の強化
各売場を重視した中での臨機応変可能な現場力の育成
プロモーションの見直し
自店顧客に提案すべき商品(モノ+コト)を的確に伝えるプロモーションの見直しが必要不可欠であり、現在の告知手法が本当に適しているのかの確認も必要です。
チラシ、パンフレット等の紙媒体、TVCMやNET媒体の効果を計測し、どこまで売上に寄与しているのか、利益と宣伝経費とのバランス確認も見直しし、効果のある媒体にシフトさせる事が不可欠です。
売場以外にはヒントとマネーが落ちていないのですから、常に現場でヒントや気付きを見つける知力と、それを拾う体力を身につける事が企業を維持向上させていく重要なファクターなのです。マーケットはブルーオーシャンなのですから、マーケティング力とマーチャンダイジング力、そしてマネージメント力のバランスの良い構築とそれに適したプロモーションが必要です。
お客様が必要としているモノやコトを探して、お客様の前に置くといった手法のみでは、これからの時代は生き抜く事が難しくなります。自社の企業ヴィジョンを明確にして、そのヴィジョンを自店のお客様に提示して、共感を頂く努力の上、お客様に支持して頂く方向性が求められています。小売業は消費を考えられるお客様を育てる使命があるのです。
2015.01.26
株式会社 オチマーケティングオフィス 生地 雅之
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