株式会社オチマーケティングオフィス 


<99>自分の好みの中にいる喜び


ライフスタイル売場が出来ないと悩んでいる小売業、またそのような売場は不要と考えている小売業が存在しています。しかし、自分自身はどうなのでしょうか?

自分の洋服は出来る限り自分の好みに合わせて購入し、着用しているのではないでしょうか?家を一歩出る時には、自分をダサいと思って外出している人は誰もいません。いくら他人から見てダサくてもです。

また、自分の部屋や家の中の家具やカーテン、絨毯、ソファやテーブル、椅子などは、出来る限り自分の好みの材質や色の中での購入となっていると思います。
食事でも、可能な限り和食のご飯にスープや、中華のチャーハンにハンバーグや、洋食のパンに味噌汁などは避けていると思います。

このような自分好みに生活様式を整えているのが普通の感覚なのです。勿論興味のない部分については、多少疎かにはなっているのですが、生活や時間や心に余裕ができつつある環境になっているのであれば、出来る限り自分の好みに合わせて行こうとされるのは自然の理なのです。
つまり、自分のお気に入りの環境の中で、生活をしたいのです。

このような生活者、消費者の感覚の中で、小売業の売場、カタログの誌面、サイトの画面がライフスタイル型の表現に変わるのは、求められている状態なのです。
少し早目の提案により、生活者や消費者の潜在需要を掘り起こし、顕在需要に転換させてお客様の生活環境を向上させることは小売業の使命とも言えるのではないでしょうか?

百貨店やGMS等のフルラインの小売業こそ、テイスト別ライフスタイル型売場を提案しやすい環境にあるのですが、まだまだカテゴリー別売場やカタログの誌面、サイトの画面からの脱却が出来ていないのです。

過去にも記載しましたが、売場に来られるお客様が「スーツは何処ですか?」「バッグは何処ですか?」との声を出される客様がいらっしゃるので、そのアイテムを集積しているとのコメントが売場には多いのですが、実は「スーツは何処ですか?」の言葉の裏には、「入社式に行く時に着るスーツは?」「参観日に行く時に着るスーツは?」が潜在しており、それを把握しての売場構築やご案内されるべきなのです。

また、百貨店やGMSにはテイスト軸が多く存在しており、そのテイスト軸別に売場や誌面、画面を区分けし、「私ならこの売場、誌面、画面」で見れば揃ってしまうという様になれば、お客様の買い回りが広がり、一客単価も向上し、お客様の満足度も広がってくるのです。

現実、百貨店やGMSは売場どころか、カタログやサイトでもテイスト軸のライフスタイル型提案は出来ていなく、早急に返還される事が望まれています。トライもしないで一客単価が低い、滞留時間が短い等の嘆きを聞きたくはありません。違う方法でチャレンジしているならともかく、アクションのない不満が多いのが問題ではないでしょうか?
もう一度お客様目線が出来ているのかを見直し、売場や誌面、画面を再構築しましょう。

挑戦と地道とは相反するような言葉ですが、実は共存できうる趣旨を包含しているのです。
挑戦することは本当に素晴らしいことで、挑戦しないでは維持どころか後退を意味するのです。
また、地道とはこつこつやることのみではなく、地に足を付けたビジネスなのです。つまり、地に足を付けて挑戦することは最高の経営手段なのです。

小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2014.09.29
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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