株式会社オチマーケティングオフィス 


<91>総論としてのリボーン・リニューアル

政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。

現在、百貨店が行っているリボーン・リニューアルは中々成功事例がないのです。効率向上のみではなく、面積増に値した売上目標もままならないのです。最盛期からの坪効率は売上低下の比率以上に低迷しているのが実態なのです。
そこで、百貨店が高額品を中心に復活しつつある昨今のリニューアルについて検証してみます。

小職の基本は「提案の無い批判はしない」であり、提案を実施されるか否かは勿論提案先の判断なのですが、第3者から見た小職のベスト案(本音)です。

(総論としてのリボーン・リニューアルの新方向性)
新規顧客を獲得する事よりも、まずは既存顧客の深堀を徹底して、既存顧客の潜在需要の掘り起こしにより、まだまだ大きな売上を確保できうるものと考えます。出来ないと考えるよりも出来ると考え、その阻害要因を浮き彫りにして、それを一つ一つ潰していき、一番コストの小さい、可能性のある方法で実施すべきでしょう。

その後に新規顧客に目を向け、自店の新規顧客を設定し、その顧客に対し、モノ・コト・ヒト・器を研究し、それを開発して、それを必要とされる顧客に徹底したプロモーションを仕掛ける事が重要です。良いモノ・コト・ヒト・器を開発する事は当然なのですが、それを必要とされる顧客に伝えられていないので、新規顧客が思うように確保できていないのが実情です。

既存のプロモーションで本当に新規顧客が獲得できるのでしょうか?ターゲットを絞れば絞るほどプロモーションの方法が明確になり、精度が向上し、リターン率が高まるのです。
良いモノが売れない時代なのですが、理由は誰の為に開発したモノかが重要で、その顧客にどう伝えるかが課題なのです。ターゲットが不透明な商品開発ほど無用なモノはないのです。

(総論としてのリニューアル後の立て直し策)
リボーンやリニューアルは売上が目標に届かない事が多いのが一般的(伊勢丹新宿本店等を除く)ですが、放置しているとその乖離は酷くなってきます。つまりリボーンやリニューアルの計画通りにお客様が動いて頂けていないのが実態です。そこで3ヶ月位実態マーケティングをして、その3か月後位に修正を掛けて初めてV字回復が見込めるのです。経営のV字回復と同様なのです。

本来ならリボーン・リニューアル後にはそう簡単には投資が難しいのですが、まずは「コスト0のリニューアル」をお薦めします。現状でも平均値を下回っている売り場(ショップやブランド)を浮き彫りにし、徹底して前年並みまで、または平均値まで引き上げる施策を現場で打ち、底上げを小さくても実行させる事(応急措置=絆創膏貼り)が重要です。

売上が低迷している売場は、そこの顧客のニーズに売場の提案されている商品がマッチしていないからだけなのです。合っていれば前年割れはまず起こりません。それを現場が認めればアクションは見えてきます。その積み重ねを疎かにしない事が重要です。

一歩一歩石垣の石のように積み重ねながら、上層部(店長や部長)が半年、1年先を見通した立て直し策を考案して実行するのです。店(現場)からうねりを起こさないと離れている本部からは何も起こせないのです。店から売場の運営の徹底を実行しながら、本部、取引先を巻き込んだ協力態勢を組み込んで、改革・改善に向かっていって頂きたいものです。
期待しています。

小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2014.01.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

Copyright@2010 Ochi Marketing Office.All Rights Reserved.