株式会社オチマーケティングオフィス 


<90>オムニチャネル化の幕開け

政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。

また、オムニチャネル化への動きは今年になって激動しつつあります。その方向は間違っていないのですが、本当に成功への道が描けているのでしょうか。
消費者にとって、購買手法は多い方がよいのは明白ですが、判り難いのはうんざりなのです。
まずは、消費者が欲しい商品(必需品)が消費者の頭の中で設定されており、その購買方法が明確であれば、店頭であろうが、カタログ通販であろうが、オンラインサイトであろうが、自分にてきした方法で問題なく購買されます。

よって、必需品の明確な絞り込み、売場(リアル店舗、カタログ、サイト)の明確な表現、そしてその商品がここにあるという徹底したプロモーションがその商品を必要とする消費者に向けてのアプローチが重要です。
次に、消費者の必欲品(タンス在庫になく、明確にこれが欲しいとは設定されていなく、訴求によって消費者の潜在需要喚起ができる商品)の提案を研究し、それを必要とされそうなお客様に訴求する事により、売場(リアル店舗、カタログ、サイト)への導入をして頂くアプローチが必要です。

この二つを区分けした考え方でのオムニチャネル化を推進する事が第一に考えるべきで、自店のターゲットの消費者がまず何を望んでいるのか(必需品)、何を提案すれば消費者が心地よく生活できるのか(必欲品)を明確に設定するべきです。そして、そのお客様がどこに存在するのかをマーケティング&マーチャンダイジングして、そのお客様に徹底した訴求をプロモ―ションする事が最優先されます。

リアル店舗ありき、カタログありき、サイトありき、品番数ありきではなく、消費者に提案すべきコト(どのような生活様式=ライフスタイルで生活して頂きたいのか)とそれに必要なモノ(必需品+必欲品)と大前提にしての適した手法を考案する方向のもと、必要な道具として研究を重ねて頂きたいものです。

自社や自分の過去の成功体験から抜け出せていない企業がまだ多く現存する中、特に大手流通業のオムニチャネル化BSは問題なく、事業のPLは当然踏まえた事業戦略が必要不可欠ですが、まずは形からとの企業が多いのが現状です。資源があるので、手を付けられやすい場面からの判断が多く見受けられます。確かに機会を見逃す手はないのですが、拙速も当然起こり得ます。少なくとも自社カンパニーヴィジョンを明確し、社内への徹底を第一に徹底しておくと社内での議論が纏め易いのです。

これは経営者の仕事であり、自分が勉強しないで部下に丸投げでは、部下から提案された事に対する判断も又狂うのです。経営者は細部までの確認は不要ではありますが、何を目的に事業が行うべきかが明確であれば、それを軸に部下からの提案を確認できるのです。
まずは経営者のビジネスモデルの中にオムニチャネルが存在するのか、部下に任せて成功すれば事業部にする程度の意識ではどの事業も全く成功しないでしょう。要は経営者の腹の括り方次第なのです。

小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2013.12.30
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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