株式会社オチマーケティングオフィス 


<80>ゴールデンウィークの実態

政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。

何故かと言えば、大半の企業の経営者達は実は現状にそう切羽詰まった危機感がなく、過去の成功体験にしがみつき、不景気という台風が過ぎ去っていくのを待っているのです。
しかし、一部の企業の経営者達は、現状を踏まえて先々を予測し、経営の舵取りを難しくても、信念を持って挑戦して行こうとされています。

今回からファッションのシーズンMDを切り口について、四季MDを提言してみようと思います。

ゴールデンウィークとは、春休みの次に訪れるロングタイムの休暇です。行楽に、ショッピングに、またはのんびりと静養も、と消費者にとっては多様な目的が生まれる時期と言えます。
春休みは学生にとってはロングタイムですが、大人にとっては普通の月であり、通常の土曜日、日曜日の休みでしかないのです。しかし、このゴールデンウィークは平均1週間ほどの休みがとれ、飛び石になることもありますが、1〜2日の休暇を入れて連休にする人も多いのです。
そのため、海外旅行や国内旅行に目が移り、旅行比率が高まる時期なのです。

旅行に行く人々は、その1〜2週間前の土曜日や日曜日に旅行に必要な物を購入するためにショッピングに出掛けます。ところが、売場では、まだまだゴールデンウィークの当日にならないと売り上げが取れないと思いがちであり、トラベルテーマなどの商品展開の準備が遅れているのが実態なのです。

消費者は旅行の準備を前日までに済ませたいのですが、直近の土曜日や日曜日に時間の取れない人は、その前の週から準備の購入をしようとしています。よって、売場は最低条件、3週間前には完璧な準備を終了させておく必要があるのです。
旅行の日程は決まっていて、必要な商品も決まっているのですが、購入時間が取れないのが実態であり、早期からの仕掛けや準備、分かりやすい売場提案が購入機会を増やすのです。

当然のことながら、売場は「トラベル」をテーマにしたゴールデンウィーク向けのMDになります。旅行先のシーンをイメージしたVP+イベントで、消費者に実際の旅行中に必要な商品をイメージしてもらうのです。このときに店としては、旅行関連で、不足としている商品を補い、その購入に結び付ける事がポイントです。これにより、グッズのみでなく、旅行先のシチュエーションに応じたウエアの購入にも導くことが可能になります。

その一方、ゴールデンウィークに旅行をしない消費者もいます。こうした人々はショッピングに出かけることが多く、ファミリーやカップルで来店も多く見かけます。
春休み同様に、ゴールデンウィーク期間も、売上を見てみると、前半の4月後半が高く、5月に入ってからは普段のウィークデーと何ら変わらない状態となっていることもめずらしくないのです。

当然、4月後半は給料日直後ということもあり、購買意欲が高まっています。これに対して、5月前半は、旅行でお金を使った後でもあり、緊縮を余儀なくされていることも事実です。
しかし、店頭に問題はあるのではないでしょうか。
例えば、ゴールデンウィークの1週間の商品構成やVP提案が立ち上がりから最後まで同じままではないのでしょうか。

また、2週間前から仕掛けている店においては、ゴールデンウィークの売上の前倒しをしているのと何ら変わらなくなってはいないのでしょうか。たまたま他店より先にパイを奪ったのですが、ゴールデンウィークに旅行に行かなかった人々に対し、商品が色・サイズ切れの状態のまま放置されていることも多いのです。
そもそもゴールデンウィーク突入後も、トラベルウエアをテーマに展開しつづけている店は、その商品を購入するお客がこのトラベルウエアでいつ旅行に行くのでしょうか。疑問を感じます

お客の立場で、ゴールデンウィークのMDを組み立てるには、
@ ゴールデンウィークの3週間前にトラベルをテーマとした展開
A ゴールデンウィーク前半はリラックスライフをテーマにした展開
B ゴールデンウィーク後半は通常のウィークエンド向けの初夏物の展開
と3タイプに分ける必要があります。それぞれにおいて、VP表現を工夫することで、店からのメッセージも効果的にお客に伝わるようになるのです。

衣料品売場の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズにフィットできる商品提案を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。是非とも健全なる売場構築に早急に改革できる事を祈念致します。

2013.04.29
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

Copyright@2010 Ochi Marketing Office.All Rights Reserved.