株式会社オチマーケティングオフィス 


<78>バレンタインデーとホワイトデー

政権交代を皮切りに、経済回復への模索が漸く始められようとしています。
しかしながら、先は消費税増税といういばらの道があり、そう簡単には行きそうもない現状です。
各企業は現状からの脱却を求めてはいますが、現実手を付けられているのはほんの一握りの企業に過ぎないのです。

何故かと言えば、大半の企業の経営者達は実は現状にそう切羽詰まった危機感がなく、過去の成功体験にしがみつき、不景気という台風が過ぎ去っていくのを待っているのです。
しかし、一部の企業の経営者達は、現状を踏まえて先々を予測し、経営の舵取りを難しくても、信念を持って挑戦して行こうとされています。

今回からファッションのシーズンMDを切り口について、四季MDを提言してみようと思います。

2月14日のヴァレンタインデーのマーケティングにおいて、某百貨店が実施した女性の意識調査の結果を紹介しましょう。「チョコレートを自分のためにも買う」と答えた人の割合は半分を超え、「本命」よりも重視していることが判明したのです。「お歳暮やお中元の代わりに、ヴァレンタインで感謝の気持ちを表す」との回答も多いのです。

この現象をメンズウエア業界に置き換えてみましょう。百貨店でも専門店でも量販店でも入店客の70%以上は女性であり、女性が男性にヴァレンタインデーのプレゼントにスーツチケットを贈るのもアイデアですが、トラベルアイテムのカジュアルから雑貨までをバッグに入れて、1万円で提供するといった仕掛け(イベント)もよいでしょう。男性用プレゼントを購入した女性に向けての店からのプレゼント、つまり女性の嗜好に沿ったノベルティーをスクラッチカードキャンペーン等にて企画して見るのも一考の余地はあります。

また、スーツチケットを贈られた男性が、売場に来て購入した際に、ホワイトデーのお返しも同じ売場で提案するのもよいでしょう。女性にも対応する雑貨やメンズ仕様のSサイズを集めて「しっかりしたメンズ仕立てをプレゼント!」との表現でコーナーを設置するのもよいと思われます。
女性が贈るヴァレンタインプレゼントの個数を増加させることにより、男性からのホワイトデーのお返しの個数が増えるのですから、メンズ業界はヴァレンタインデーの仕掛けを衣料品アイテムに目が向くように注力すべきなのです。当然、ホワイトデーのお返しもメンズ売場で同時提案しておくことも重要です。

とはいえ、ヴァレンタインデーの時期は冬物セールの終期に当り、店頭にはまだまだ春物がそろっていません。メンズウエア売場としては、環境的に不備な状態なのです。この時期に衣料品をきれいにそろえて見せることは、端境期企画(梅春)の充実が必須条件になってきます。

この時期の店頭は、セール商品の色・サイズ切れが発生しているのです。しかし、チェーン店等は店頭で色・サイズがばらばらになっている品番を集約し、品番を絞って再配分するような手立てを実行しています。しかし、売上の低下を防ぐ程度には役に立つが売上を伸ばすところまでは至っていません。

品番集約のみにとどまらず、もし展開品番が「金太郎飴」=全店共通の状態ではないならば、品番まるごとの入れ替えが、セールとは言え、売場を新鮮に見せるテクニックの一つでもあります。そのうえで、次のシーズンの前倒し提案として梅春物コーナーを設置し、スプリングコートから洋品まで強化することが望まれます。
冬物セールの実態、梅春向け展開の強化、そしてその導入時期のバランス化などについて、気温の変化を見ながら対応し、そのうえでヴァレンタイン向けの企画を仕掛けていくことが重要なのです。

衣料品売場の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズにフィットできる商品提案を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。是非とも健全なる売場構築に早急に改革できる事を祈念致します。

2013.02.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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