株式会社オチマーケティングオフィス 


<55>GMS衣料品改革-2
 =イトーヨーカドー津田沼店+ジャスコ津田沼店の衣料品売場


リーマンショック以降低迷が続いていました小売業にも大きな変化が見えてきました。元気に伸びていますFBやアウトレット、安定期に入ったSC、少し復調気味の百貨店、苦戦続きのGMSと明暗が分かれつつあります。
小売業を含む企業は時代の変化に適応しながら、お客様の望む物を提案し続けなければなりません。勿論顕在需要のみではなく、潜在需要の掘り起こしも重要な課題です。

1. イトーヨーカドー津田沼店=衣料品売上を回復させるための提言
JR津田沼駅からの1Fからの導入とエスカレータでの2Fへの導入とminaのオーバーブリッジからの導入と京成津田沼駅からの導入と立地は抜群です。
但し、京成駅向こうのジャスコが新しく綺麗なので、古く見えるのはハンディキャップです。
駐車場はJRと京成と間の平面・立体の併用で、立体駐車場から通路で入店も多いのです。
常に外側からのエスカレータの1Fと2Fの入口前には恒常的ワゴンセールを打ち、お客様の足を止めています。

衣料品は2Fレディスで、3Fメンズ、4Fキッズ、5Fベビーと1フロアが狭いので、多層構造展開を余儀なくされています。
2Fのレディスはエスカレータサイドにギャローリア、L&B等が並んでいますが、商品の同質化は否めません。L&BのOFF-STYLEと表示された売場にセレブレイト(TOWN-FORMAL)商品ややキャリア服(OFFICE-STYLE)が並び、ON-STYLEにカジュアルお出かけ着が並んでいたりしています。(木場店ではHOME-PAGEのコンセプト通りにまともに並んでいました)

IYのHOME-PAGEの衣料品を見ると伝えたい事は正しいと思われます。木場店の販売員(パートらしい女性)同士の話を小耳に挟んだ時に、「この商品は全店でNBの中で一番売れている商品だから一番前に出そう」とか全社の情報の共有化も出来ているように思われます。しかし、一部では売場の現場販売員等まで徹底できていない店もあります。要は良い商品がまともにお客様に伝わっていないのです。この事は昨年8月末にイオントップバリュコレクションをジャスコ津田沼店でリサーチした時に、隣のこのイトーヨーカドー津田沼店を覗いた時と全く同様の状態です。

また、朝一の来店客層は50〜60歳のミセスが多く、一応30〜40歳向けブランドとして企画展開していると思われる上記ブランドを見ていて、試着までしているのです。という事はギャローリアやL&Bの企画が30〜40歳向けであっても、感覚的には現在の50歳以上のお客様にぴったり合っているのではないでしょうか?いまや50歳代以上の女性は感覚も若く、30〜40歳代向けファッションを十分着こなす事が出来る表われなのです。そうなると気をつけないといけないのはサイズでしょう。50歳代は体型が中年になってきており、本来の30歳代のシルエットでは対応仕切れないのです。

この事はメンズフロアにも当てはまります。既に従来のシニア層は65歳以上になっており、団塊の世代(63歳)から50歳クラスは十分若々しいファッションを好んでいるのです。例えばKENT等はそれにぴったり合うブランドなのです。ischiaでさえ40〜50歳前半の方が着たいと思って袖を通しているのです。しかし、サイズは20〜30歳前半にぴったりなのです。

また、メンズスーツを中止する話も聞こえてきますが、GMSのメンズの衣料品ターゲット(50歳代中心)ではスーツの需要は落ちてきており、現在展開しているシルエットでは女性同様に古いのです。今やスーツカンパニー位のシルエットでないと50歳代は対応しきれないのです。
しかし、本来スーツの需要は20〜30歳に向けて強化すべきアイテムです。これから彼らは戦闘服として必需品なのです。しかし、彼らは現在のGMSのテイストのないアイテム平場では購買しません。彼らはコンサバであり、ブランド品やセレクト系ショップで購入しなくても、ベーシックな感覚でテイストのあるトータルショップで購入したいのです。
よって、1テイストのショップで、ビジネス50%、カジュアル50%に見えるショップを構築し、売上はビジネスが70%程度確保できる商品構成を構築すれば十分対応できます。

このような狙いと実質の購買層のずれはいつでも起こっているものなのですが、しっかりと実質着用層(リアルターゲット)を見つめ、それに向けての感性はヤングマインドで、サイズはアダルト向け(但し、現在は細く見える)にシフトすることが前提です。

レディスもメンズも30〜40歳クラスのお客様を狙っても、衣料品売場にはなかなか来店されていないのです。
まず、自店の来店顧客層の分析を実施し、食品のみに来られるお客様を含めた店の来店平均層ではなく、衣料品フロアに来店される顧客分析を把握します。
現状の衣料品フロアに来られているお客様に適した商品を提案・供給し、コーディネイト販売により顧客単価の引き上げを行い、その次に食品フロアに来店されています他のターゲット層へ向けてのライフスタイル提案商品を展開し、食品売場への訴求も含め、衣料品売場への導入を試みるべきでしょう。

2.ジャスコ津田沼店=TOPVALUECOLLECTIONをより良くするための提言
2010年10月25日付け弊社HOME-PAGEのREPORT欄に記載しました昨年秋のトップバリュコレクションの半年後の、秋冬物最終セールを見てきました。
商品構成はルームスリッパやソックス、雑貨まで展開し、什器のみ凝ったミニユニクロに見受けられました。近隣のminaで見てきたユニクロにも問題は多いのです。例えば新チノと称した看板は多く見られるのですが、ネストテーブルにはデニムがならび、プロモーションに商品生産が追いついていない状況です。

2010年9月18日付東洋経済の中のカンパニー&ビジネスのコーナーでの「体制一新で臨むイオンーSPA始動も前途多難」の中でトップバリュコレクションがより良くなるために提言しました。現在は目立つ赤い什器と高いフェイスアウト展開はそのままで、枚数消化が出来ていないようで、売場の商品を出し過ぎで、通路が狭く、見にくい環境と悪化していました。また、価格のみ既に安い状態から、一層安くなっていました。カットソー500円、700円、ヤング向けダウンジャケット3000円、シャツ990円等、販売員を付けて売る価格ではありません。

本来はプロパーの段階で、如何に商品を良く高く見せて、手に取った段階でリーズナブルな価格に感じていただく事(見た目で思ったより安い)を求めるべきではないしょうか?
既にプロパー価格が安く、従来のセルフの衣料品売場の価格のまま、販売員を付けた状況であり、コーディネイト販売をして、販売員1名当たり1日6万円くらい(土日祝を含む平均)を販売しなければペイしなく、6万円とは1980円のシャツ30枚に当たります。多少高額品(アウター等)を入れて20枚としても、お客様1人の購買枚数は多くても3枚程度であり、販売員1人1日での売上の6万円は至難の業なのです。セールのように価格を安くするともっと大変です。しかし価格を安くする以外、現状では在庫削減ができないと思われます。

建値粗利を確保するためにコストダウンをさせ、そのための生産ビッグロットありきで、商品は作ったら売れると考えているとは思えませんが、実は売れて始めて利益が残るのです。
GMSでいままでやっていなかった販売員によるコーディネイト販売を加えると売れると考えているとは思えませんが、GMSではやっていなかっただけで、ファッションビジネスでは既に実行されている当然のことです。根本的に利益にスタンスを置くビジネスフレームを再構築願うものです。

オーバープロダクト、オーバースペースの環境下、これからの日本の消費構造の変化を鑑み、「お客様目線で売場や商品を見て、手直しはプロの技」といった事を徹底しながら差別化する事は至難の業ですが、諦めずにチャレンジしていく事は永遠の課題でしょう。
これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドとグッズブランドの違いを認識され、各ショップの価値創造による消費者のライフスタイルの確立を目指すビジネスの重要性が増すものと考えます。これらの実行が、今後の発展に寄与できるものと確信しています。

2011.03.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之

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