株式会社オチマーケティングオフィス 


<34>仙台地区リサーチ情報I
=仙台泉プレミアムアウトレット+三井アウトレットパーク仙台港+仙台PARCO+さくら野+藤崎+三越

6月3日(水)に仙台地区の百貨店、ファッションビル、アウトレットをリサーチしてきました。
近視眼的ですが、リサーチにて感じた内容を想いのままに記載してみます。
少々乱暴な点はご容赦願います。

1) 仙台泉プレミアムアウトレット (08/10/16 OPEN)
仙台駅から地下鉄南北線で40分弱の終点泉中央駅からバスで25分程度の泉パーク
タウンに昨秋にOPENしましたアウトレットで、80店程度の店舗数です。
入間の様に2重2層展開であり、纏まっているレイアウトです。
同じテイストのショップを纏めずにばらしてレイアウトしており、
飽きないショップレイアウトです。
BRANDはどこも同じく、COACH、REGAL、JUN、UA、ビームス、LEVIS、ノーリーズ、
トリンプ、FRANFRAN等であり、特筆するものではありません。
「食」が物足りないのですが、隣接のSC「TAPIO」(約70店)があり、そちらにそこそこの
数のレストランがレイアウトされていますので、補完されている状態です。
こちらのSHOPはどこにでも出店しているBEACH-SOUND、CYNTHIA、ANYSIS、
ローラアシュレィ、コルテラルゴ、タルボット、ABC-MART等です。
ただ、仙台の中心地から不便な場所であり、近隣の住民にとっては便利なエリアと
言えます。今後も地域以外のお客様を取り込むのは難しいアウトレットと言えます。
交通費も仙台からのバス往復の割引券で1000円となっています。

2)三井アウトレットパーク仙台港 (08/09/12 OPEN)
仙台駅から仙石線にて20分弱の中野栄駅から徒歩10分程度の海辺に
三井アウトレットパーク仙台港が昨秋にOPENしました。店舗数は約120店です。
仙台泉に似て2重2層であり、見易いレイアウトですが、子供服は子供服で纏まっており、
少し面白みに欠けると思います。
交通費は仙台からJR往復で380円とリーズナブルです。
ただ、BRANDは両方出ているCOACH、REGAL、EDWIN、FRANFRAN、ノーリーズ
以外にフェラガモ、GAP、DIESEL、DAKS、AUSTIN-REED等が出店しています。
仙台泉に比べ交通の便は圧倒的に良く、こちらの方が維持発展する可能性があります。

3)仙台PARCO
仙台駅の2Fからそのまま入れるPARCOは、丸井溝口店と似ており、B1FにFRANFRANと
ROSEMARY(化粧品)が入り、1FはCOLDSTONEやスタバ、2Fからジャーナルスタンダード、
3FがTOMORROW-LAND、4FがCIAO-PANIC、5FがMARIMECCOやグラニフ、
6FがEARTH MUSIC&ECOLOGY、8FはTOWER-RECORDSがメインとなり、
9Fはレストランです。
他のフロアはそうでもないのですが、7Fのメンズファッションフロアは意識している
のでしょうが、照明が暗く全く売場に元気がありません。
今の時代、売場が暗くて商品が良く見える時代ではなく、昔の表現方法のままで、
時代に遅れたままと見受けられ、お客様には見放されていると思われます。
いち早く時代対応できることを望むものです。

4)さくら野百貨店仙台店
駅前立地のこじんまりした地方百貨店であり、顧客エイジが高く、将来性に疑問を
感じさせる状況です。このままでは宇都宮駅前のロビンソンや水戸西武(その後LIVINに
変更し、閉店)の様な推移をしていくのではと推察されます。
ヤングに迎合しなくても、現在のお客様に若々しく感じていただけることが必要です。
このままでは駅側の立地を活かすこと無く、ジリ貧になっていくものと見受けられ、
心配です。数年前まで高島屋がFOLLOWしていましたが、それも縁が切れ、その時に
導入されたようなUA、セオリー、タケオキクチ等が1Fにあり、早く出たいといった顔の
売場と見受けられます。
根本的にリニューアル(店舗改築)をしないと難しい店でしょう。
1F+2FをCAFEやSWEETSで埋め尽くすなど、上層階はレストランの銘店街を
集積するなど、物販に固執しない構造改革も駅前立地を有効利用できる店にすべき
ではないでしょうか?
周りには年配の方がゆったりと過ごせる雰囲気の店は少ないと思います。

5)藤崎
老舗であり、ADOグループの「東北の雄」として存在価値のある店でしたが、
三越が伊勢丹との統合問題で、仙台の百貨店の在り方も変化が見られます。
地型の悪い店であり、ゾーニングに難しさを感じさせた売場構築であり、メンズなどは
1.5層になっており、見難い環境です。
特にフロア毎の表現力が弱ってきているのか、このフロアは何を訴求しているのかが、
判り難い様に見受けられます。
流石に「東北の雄」であり、BRANDの集積は十分です。
しかし、東京の縮小版を仙台で見せる必要もなく、仙台独自のローカライズされた
オリジナル百貨店を構築していただきたいものです。
伊勢丹の地方店、支店が苦しんでいるのです。三越の武蔵村山店や名取店の
閉店方向に紛れて、吉祥寺店の閉店を発表し、今後も他の支店の存続も
検討せざるを得ないのではと懸念されます。
要は伊勢丹としての三越との統合のメリットは三越の基幹店があれば、三越の
弱小店や自社の非効率店は不要と見られないように、支店や提携店の運営方法を
本店主導型でなく、地元顧客のニーズに合わせたローカライズしたMDにシフトして、
地域での存在価値をアピールしていただくように期待しています。

6)三越仙台店
この店は仙台駅から徒歩20分程度であり、地下鉄駅の上に立地していますが、
仙台中心地からは外れた環境です。
特に本館のみでも苦戦状況であるのにも関わらず、店舗面積が狭いと、
横の141を引き取り、既存の百貨店MDの面積を増加させたに過ぎず、141エリアは
閑古鳥が鳴いていました。
MD面は三越本店の新館同様、本館の延長線では何の効果も出ません。
名古屋のラシックの様な効果は望めないにしても、既存のMDに欠けている部分を
補完すべきであり、家系、家族を狙うようにMDを構築すべきです。
例えば、三越本店の新館やこの三越仙台店の141部分等は、本館が60歳ターゲットと
すれば、その10歳下のエイジターゲットを狙うのではなく、お父さんに手を引かれて
よく来店されたその子供達(現在団塊JR)に狙いを定め、ヤングのビジネスをメインにした
百貨店グレードのライフスタイル提案の出来る売場にすべきです。婦人も同様に
キャリア中心に構築し、ニューファミリーに照準を合わせたMDが必要不可欠です。
このターゲットを掌握できれば、その子供達(トドラー)までも本館で吸収でき、
3世代カバーできる顧客層を入手できるのです。
この事で百貨店の将来が見えてきます。
要はヤングが百貨店に来店されないのは、欲しい商品がないからであり、
来ないから置かないのは本末転倒です。
過去にデザイナーブランドが百貨店に売込みを掛けた時には、そのような
マンションメーカーに毛の生えた会社とは取引しないと断り、丸井に火を付けられて
DCブームが発生し、後追いで百貨店も対応してなんとか波に乗り遅れなかった事などが
良い事例でしょう。
このMD論を数年前から提案しており、先日の業界紙に三越伊勢丹大阪店のMDが
3世代カバーすると発表されていましたが、蓋を開けて地元のお客様の
3世代のニーズ対応できている事を願うばかりです。

オーバープロダクト、オーバースペースの環境下、これからの日本の消費構造の
変化を鑑み、「お客様目線で売場や商品を見て、手直しはプロの技」といった事を
徹底しながら差別化する事は至難の業ですが、諦めずにチャレンジしていく事は
永遠の課題でしょう。
これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドとグッズブランドの違いを
認識され、各ブランドの価値創造による消費者のライフスタイルの確立を目指す
ビジネスの重要性が増すものと考えます。これらの実行が、今後の発展に
寄与できるものと確信しています。

2009.06.28
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之



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