株式会社オチマーケティングオフィス 


<25>最近の話題店オープン事情E

=THE PRICE西新井店とH&M


今秋のIYのTHE PRICE西新井店をOPEN日(8月29日)と9月16日の2回、H&M銀座店を
OPEN(9月13日)後の16日に見に行き、1時間待ちとの事で、GIVE-UPし、
24日に1時間待ちの客待ちの長さでしたが、なんと30分待ち程度で入店でき、
リサーチしてきました。
近視眼的ですが、オープンにて感じた内容を想いのままに記載してみます。
少々乱暴な点はご容赦願います。

1.THE PRICE西新井店・オープン
場所は不便な所であり、東武伊勢崎線の西新井駅から、約7分程度のARIO西新井を
通り過ぎて、また7〜8分程度歩きます。元のイトーヨーカドーの西新井店であり、
地元顧客のみが利用していましたネイバーフッド型の小型スーパーであった店(2層)を
ディスカウンター風に変更したものです。周囲の環境も悪く、道は狭いし、
一方通行も多く、苦しい立地と言えます。

OPEN日は流石に目玉商品もあり、小さな駐車場も満車状態が続き、混雑していました。
価格もそれなりに安く感じられました。通常のイトーヨーカドーの価格の20〜30%OFF
との事ですが、通常のイトーヨーカドーはダイエーよりも15%程度高く、
西友よりも20〜30%高いので、
目玉商品以外はそんなに安く感じられませんでした。
要は欲しいもので、良いものが安くないと購買には結びつきません。

必需品の牛乳や食パンなどはそれでもブランド物もそれなりに安いのですが、衣料品に
至っては「安かろう、悪かろう」であり、全く魅力を感じられません。
同じディスカウンターならMR.MAXの方がかなり安いと思います。
例えば、2L入りのウーロン茶は、通常のGMSで168〜178円程度であり、
THE PRICEでは138円、MR.MAXなら98円といった状況です。
また、OPEN後2〜3週間後に覗くと、OPEN当初に比べて、気のせいか価格が
上がってきているように感じます。

自信がないのか、様子見なのかPBを展開しないで、メーカーと自社の益率を落として
頑張っている程度に見受けられ、本来のPBをこの価格にて出せるくらいPBを構築し、
この店のみでなく、IY全店にて「EVERYDAY-LOW PRICE」を実践すべきでしょう。

消費者はガソリンの高騰や食品の値上げ等に圧迫され、生活防衛に入りだし、
必需品は1円でも安く買いたいと考え、衣料品特にメンズウェアを購入される女性達は
ベーシックで、品質もそこそこ良く、リーズナブルな価格のものを求めだしています。
だから「EVERY DAY-LOW PRICE」のディスカウンターは今後拡大する方向ですが、、
日本のマーケットにおいては、単に安いだけでは通用しないのです。
アウトレットでさえ、自分の欲しくないものはいくら安くても購入しないのであり、
アウトレットで色サイズが揃っていないからと文句をいうのは日本人だけでしょう。

このようなマーケットの中で、このような考え方での店の展開には将来性を感じません。
もっと、マーケットを分析し、お客様の立場で、「いつ」「どこで」「何を」「どのような価格で」
「どの位」必要かを分析し、プロの技での事業フレームを構築して、
展開して欲しいものです。
ARIO西新井店があるのに関わらず、IYがこの程度のMDで、この店を再生する必要性が
なかったのではと思いますが、出る限りはもっと地元商圏顧客のマーケティングを真剣に
分析し、工夫する必要があるでしょう。

今後、顧客視点による事業フレームの構築ができるMD対応に期待します。

2.H&M 銀座店・オープン (ZARA 銀座店+UNIQLO 銀座店との比較)
H&M銀座店はZARA銀座店を地下1層増やした位の大きさで、
開店以来すごい賑わいです。久しぶりに活気のある店を見てきました。
平日のお昼という事もあって、90%以上が女性であり、老若入り乱れた層が入店され、
彼女達は平均3〜5枚程度のまとめ買いで、平均15000円程度の購入と見られました。
まず、ファッション感度ですが、ZARAよりは少し落ちますが、BASICを追っている
ユニクロよりはトレンディです。(@ZARA,AH&M,Bユニクロ)

素材は欧州特有の合成繊維中心であり、何かとポリエステル混で、ぎらぎらした
表面効果の素材使いが多いので、昭和30 年代の日本の紡績(米国の素材の追随)
の生産していた素材に近く、日本の湿度の高いマーケットに合うのかは疑問です。
また、固く重い素材が多く、風合いも研究されていなく、ガサガサ感は大雑把な欧米の
特有なもののままと感じました。その点はZARAの方が少しましですが、ユニクロの物に
対するこだわりや研究は半端なものではありません。(@ユニクロ、AZARA,BH&M)

価格についても、ユニクロに一日の長があります。毛100%のニットなど、
ユニクロでは2990円ですが、ほぼ同じデザインのアクリル混のニットが4990円であり、
特にBASICアイテムの価格については、ユニクロにH&M,ZARAとも負けています。
(@ユニクロ、AH&M,ZARA)

商品の質感ですが、全部とは言えませんが、ZARAの一部の商品は本物追求をしており、
LADYSでのムートンのコート129500円等、価格のヴァリエーションがあり、
ブランドステイタスを表現する努力が垣間見れます。
ユニクロはまだ、価格から入っている部分が残っており、レザータッチ等、フェイクなど
言葉で表現を変える仕掛けで訴求しており、マスメデイアに頼っている部分が
見え隠れしています。
もっと、本物を如何にリーズナブルな価格で仕上げるか、お客様の購買ポイントと
価格のバランスを研究する必要を感じます。(@ZARA,Aユニクロ、BH&M)

サイズについては、なんと言っても国内のユニクロが一番日本人を理解しており、
H&Mも今回7サイズ展開(XS,S,SB,M,MB,L,LB)と横に広いサイズ構成で参入し、
日本人の体型の平均を模索しているように見受けられます。
ZARAについては、まだまだトレンディ狙いのためかSLIM&TALL部分が多く、平均的な
日本人に合わない部分も多々あります。(@ユニクロ、AH&M,BZARA)

販売員のファッション感度については、ユニクロは平均的で、H&Mは黒子に徹した
ユニフォームであり、ZARAは自ら歩くマネキンになっています。
(@ZARA,Aユニクロ、BH&M)

その他として、H&MはOPEN混雑状態が続いている事もありますが、フィッティング
ルームが混んでいるからか、売場のミラーの前で下着姿になって試着している人や、
スカートをはいたまま、その下にスカートを試着する人も見かけました。
一般的なGMSやアウトレットで、女性トイレが混み合っているから、紳士トイレに割り
込んで個室トイレを使用しているおばさんと同レベルの客質です。
また、商品の品質表示や原産地表示が多国に展開しているために、沢山の国の言葉で
品質・洗濯ラベルが何枚も付いています。購入したお客様において「自ら切り取れ」
という事なのでしょうか?疑問に感じる点はまだまだ残っています。
  
結論としては、OPEN当初は満遍なく、様々な客層が来店していますが、百貨店の顧客が
流れるには商品の質感が全くなく、SCの中のセレクト系ショップでなく、一般専門店にて
購入していたが不満足である25〜45歳位のお客様が多少定着してくると思われます。
しかし、この質感では長続きしなく、如何にH&Mが日本の顧客をマーケティング
できるかに掛かっていると言っても過言ではないでしょう。
過去リズクレイボーン(三陽商会)やカルフールが撤退していった二の舞にならないように
期待しています。
再度、半年後、1年後に再度検証してみたいと思います。
 
まだまだ、顧客視点に立って物事を判断できている小売業は存在していないと言う事の
表れでしょう。

これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドやグッズブランドの価値創造
による消費者のライフスタイルの確立を目指すビジネスの重要性が増すものと考えます。
これらの実行が、皆様の企業の発展に寄与できるものと確信しています。

2008.09.26
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之



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