株式会社オチマーケティングオフィス 


<23>百貨店+GMSの紳士衣料品売場の対策

百貨店とGMSの衣料品売上が苦戦し続けています。
商品やブランド提案の不明瞭さのみでなく、売場が誰に何を提案しているのかが、
判り難くなっています。
百貨店やGMSが自店のお客様のデータを収集しても、細かく分析できていなく、お客様
の心理を把握できていないのです。
要は、ターゲットが広く見すぎて散漫な状態になり、個々のターゲットに対する対策が
大雑把になっているように見受けられます。
そこがぶれているから、売場構築の方針を明確に出せない事や、商品構成やブランド
構成にも悪影響を及ぼしているのです。
そこで今回、百貨店とGMSの衣料品対策を紳士服中心に掘り下げてみます。

1.現在の百貨店紳士衣料品の顧客分析と対策
まずは自店の売場の顧客データの把握・認識が重要です。
既存顧客に目を向け、彼らの購買履歴等から、今後の提案すべきブランドや商品を
開発し、自店のブランドに欠けているのかを検証し、あれば表現を強化し、
無ければ導入を検討すべきでしょう。
要はまず既存顧客への提案を強化し、顧客の自店離れを阻止する事です。
そう簡単に新規顧客は確保できない事と、既存顧客が自店の現状の品揃えで
満足していないといった事が挙げられます。
この既存顧客の中で、元売り場の顧客分析、催事の顧客分析、外商の顧客分析、
通販の顧客分析など、多様化にしている購買シーンにおけるそれぞれの売上データの
分析を必要としています。
それも、購買実態はほとんど女性と言う環境の中で、実質着用層とはお父さんなのか、
ご主人なのか、子供なのかが不透明であり、この実質着用層を把握できていない事が
商品構成やブランドの集積に問題が生じているのです。
伊勢丹新宿店や阪急メンズ館の様に、男性自らの購買をベースに設定できつつ
ある店舗はともかく、代理購買を主とする日本の一般的な百貨店紳士服売場において、
この実質着用層を把握するデータ収集と分析は不可欠でしょう。
まず、この既存ターゲットは自店では精一杯抑えていると思っているのに関わらず、
ジリ貧になってきているのは、既存顧客の購買シーン別購買動機の把握不足と、
既存顧客が既存売場の商品群やブランドで満足していると考えているからでは
ないでしょうか?
よって、次の世代に新規顧客開拓の目を向けだそうとしているのです。
しかし、彼らは自店に一度も来たことがないのが実情です。
まずは、折角来店していただいている既存顧客により満足のいく商品構成や
ブランド集積を実施し、自店の顧客離れを防ぐ事が重要です。

2.現在のGMS紳士衣料品の顧客分析と対策
まずは、上記百貨店と同様に自店売場における実質購買層と推定着用層の把握が
重要です。すでにコンビニエンスストアで実施されているようなレジでの見た目の
判断でも構わないので、釦を2つ押す作業(お金を支払っている人の性別・見た目年齢と
推定の着用性別・年齢)のを追加するのみで、大体の顧客実態が把握できます。
この把握が最低必要です。実態は子供のものとして購入されているのに、
品揃えは大半シニア向けでは売れる物まで売れません。
また、GMSは食品売上比率が高く、1週間に2〜3回以上来店される食品のお客様に、
衣料品売場への来店を促す販促作業が必要です。
折角自店に来店されているのにも関わらず、食品の購入のみで帰られているのです。
必需品ウエートの高いGMSでは、百貨店と違って価格の安さも必要不可欠です。
必需品は同じ物なら安い店で、但し交通費と時間を掛けて行く程のメリットが無ければ
他店に行かず、食品の購入する店での購買になります。
しかし、衣料品は即必要としていない物が多いので、食品売場に1か月に10回
来店される人が月2回程度衣料品売場にまで来られるとするなら、
その頻度を3〜4回に高める努力が必要です。
そのためのチラシは重要な役割を果たしてくるのです。
では、現実のGMSのチラシはどのような実態でしょうか?
1週間の1〜2回新聞の折り込みに食品のチラシと併用掲載にて撒かれています。
食品の肉の横に衣料品が掲載されているチラシを見て、購買意欲が湧くのでしょうか?
売り場も同様であり、食品売場の横に衣料品などをレイアウトしている店などは最悪
であり、総菜の匂いの付いた衣料品など、お客様は手のも取ろうとしないのです。
また、チラシの表現も同様であり、他GMSのチラシと並べて、店名を隠せば、
自店のチラシを見つけられる一般消費者などはほとんどいません。
要は自店の特長が表現されていないのです。
この様な実態を踏まえて、自店の紳士衣料品売場に顧客を呼び込む対策を講じて
いただきたいものです。

「顧客視点での課題(提案と売場のバランス)発見、プロの目線での改革」が必要です。
是非とも健全なる店頭売上になるように、百貨店衣料品の売場を早急に
再構築できる事を祈念致します。

2008.07.29
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之



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