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<22>最近のSC+OUTLETオープン事情D
今春のイオンモール羽生SCや三井アウトレットパーク入間のオープンとららぽーと船橋の リニューアルを2日目と1ヵ月後にリサーチしてきました。 近視眼的ですが、オープンにて感じた内容を想いのままに記載してみます。 少々乱暴な点はご容赦願います。
1.イオン羽生SC・オープン 場所は不便な所であり、東京から車で出向けば、東北自動車道の羽生インターを降りて 平日でも30分程度の一般道路を走らなければ行けませんが、駐車場も広く、店舗ゾー ニングはそこそこのレベルです。 片サイドにジャスコを3層で配し、反対側の1FにJOSHINとペットスクエア、 2FにSPORTS-AUTHORITYと未来屋書店、3Fにワーナーマイカルを置き、中央の 通路に専門店(ALLで200店)をちりばめ、現在のGMS核のSCとしてはかなり良いもの と思われます。 FOOD-COURTを3Fに置き、スタンダードなレストランを1Fに置くなど、通常の逆の発想 でシャワー効果も意識したと伺えます。 SHOPも団塊ジュニアには満足するレベルの店を集積しており、評価に値します。 ただ、今後のSCの課題としては、団塊ジュニアのみでは伸び悩むのは明白であり、 ターゲットエイジの上への広がりを意識せざるを得ないのです。 その層は食にもレベルの高さを要求しており、現在のこの程度のレストランでは満足 していないので、もう1ランク上のレストランを配する必要があります。 当然、ファッションもしかりであり、感覚は団塊ジュニアのものでもOKですが、サイズに 難があり、スマートに見えるAB体までを意識した商品構成をしたSHOPが参入しないと 今後の売上の維持、向上は難しいものと思われます。 現にSCにおける衣料品SHOP構成比は数年前までの50%を切り、35%までに落ち込ん できています。逆にサービス部門の拡大が目につきます。 羽生においては、三越がアダルトどころか一気にシニア向けのメンズ・レディスのこじん まりしたSHOPを出しており、「誰のために何を売ろうとしているのか?」が不透明に感 じられているようです。 この店の入り口にあるモチクリームなど、百貨店でないと集めにくい食BRANDを全部 にレイアウトして、中途半端な衣料こそ切り捨てるべきであったと思われます。 三越がこのSCに出る必要性がなかったのではと思いますが、出る限りはもっと地元 商圏顧客のマーケティングを真剣に分析し、工夫する必要があるでしょう。 今後の店の固定客作りのための接客対応に期待します。
2.三井アウトレットパーク入間・オープン このアウトレットも不便な場所であり、東京から車で出向いても、関越自動車道の所沢 インターから平日で40分程度の一般道路を走らなければ行けません。 また、アウトレットの入り口とその奥に隣接したコストコの入り口が同じ道路に面しており、 両方の店に入ろうとするお客様の車で、平日でさえ大渋滞しています。 このような調整も出来ない行政指導には、問題が残ると思われます。 但し、駐車場の3Fからアウトレットの2Fに入る入り口がメインであり、1Fのみで帰るお 客様がいない状況作りは良いと思います。 アウトレットについては、204店舗でのオープンであり、BRANDのレベルもリーズナブル であり、こじんまりしているために、軽井沢や御殿場の大箱よりは見易い環境と思われ ます。 特にLEVISなどの1テイストショップの大箱は見ていて飽きてくるのですが、この程度の 面積であれば、充分LEVISの表現が伝わり易いのです。 作り方は関空のアウトレットのように2層であり、雨に濡れなくても全店見られる強みが あります。 また、2Fの中央にFOOD-COURTを配し、周りから見えないようにしている点も評価 されますが、根本的にはまともなレストランが抜けている点が問題であり、アダルトが 来れない状況になっています。 日本のアウトレットはSCのディフュージョンライン的な意識で消費者が見ており、アメリ カと違って、色・サイズ切れに文句を言ったり、アウトレットなのにSALE告知をしたりと、 SCの価格ランク下の様相を呈しています。 要は、百貨店のBASIC-LINEの価格が30%程度高く思われているように、SCも同様に 30%程度高く思われているのです。よって、アウトレットが延びてきており、SCが頭打ち 状態になりつつあると思われます。 但し、駐車場の出口の作り方は上手くなく、クロスしているために、駐車場内の混雑も あります。 隣のコストコには入っていませんが、幕張の大味なコストコを見る限り、日本では難しい と思われます。コストコも幕張店と合わせて後日コメントします。
3.ららぽーと船橋(ららぽーと南館)・リニューアルオープン 1年数ヶ月を費やし、5月22日にリニューアルオープンしたららぽーと船橋南館は、明る く買い回りの間隔もそこそこで、話題のSHOPも導入しており、いままでの大箱・大味 SHOPから少し垢抜けた感が見受けられます。 しかし、まだまだ食のレベルが低く、アダルトが来れない状況であり、SCの課題を抱えて います。 特に3Fの寿司屋などは日曜日の朝11:00のOPEN直後に入ってさえ、今や寿司屋の 定番的なサーモンを切らしており、14:00に港から持ち込むなどと言い訳をする始末です。 お客様から指摘されてから、壁に掛かっているサーモンの札を裏返し、フロア担当にサー モンのオーダーを受けない様に指示しているなど、まだまだ顧客満足の低いレベルで、 この様な状態ではアダルトは来ないのです。 また、ZARAのSHOPはレディスは明るい商品と照明なのですが、MENSは商品も照明も 暗いのであり、日本のマーケットでは売れるものも売れない環境となっています。 よって、レディス売場はお客様が入っているのに、メンズはがらがらといった状態でした。 まだ、IVORY-COURTやNOLLYSの方が、日本の時代に即した商品構成であり、まともに 見えています。 ところで、2Fの南船橋から入ってきたところの三角島の売場は何を狙って作られたのか 判断がつきかねます。 百貨店の1Fの様なアクセサリーSHOPが平場的に展開されており、わざわざここに百貨 店を持ってこなくても良いと思います。 この商材を展開するにしても、SCらしい展開がある筈で、この様な事をしている限りSC の将来は暗雲が立ち込めていると言えます。 まだまだ、顧客視点に立って物事を判断できている小売業は存在していないと言う事の 表れでしょう。 これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドやグッズブランドの価値創造 による消費者のライフスタイルの確立を目指すビジネスの重要性が増すものと考えます。 これらの実行が、皆様の企業の発展に寄与できるものと確信しています。
2008.06.30 株式会社 オチマーケティングオフィス 生地 雅之
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