株式会社オチマーケティングオフィス 


<15>最近の百貨店+SC・リニューアルオープン事情B

11月の大丸東京店の新店移設に伴うリニューアルや、ララガーデン春日部やアリオ
西新井の新店オープンには、目を見張るバブル状態です。
近視眼的ですが、リニューアルやオープンにて感じた内容を想いのまま記載してみます。
少々乱暴な点はご容赦願います。

1.大丸東京店・リニューアルオープン
大丸東京店のリニューアルは移設が伴い、今までの縦長の台形状態からスクエアな
形状になり、すっきりとした見易い売場になっています。
今までの東京駅の乗降客をメインにした食品売り場の弁当目当てのお客様も大事に
しながら、地上階を大人の女性にターゲットを絞り、1Fにスィーツ売場を構築するなど、
今までの百貨店のスタンダードを超越した売場構成となっています。
レストランフロアも2層に分け、12Fには有名店を並べ13Fには大型のXEX TOKYOを
レイアウトするなど、配慮した構成です。
しかし、1フロアの面積が少なく、各フロアを回遊する時間が余りにも短く済んでしまう
事には問題があります。
当然、1フロア面積が小さいので、エスカレータは1機しかなく、エレベータを1機
減らしてももう1機のエスカレータがあった方が良かったのではと思います。
そのエスカレータ位置も1Fの1つの入口の正面にレイアウトされ、その為に奥行きを
取らざるを得なかったのですが、2つある入口の中央に設置すれば奥行きもそれほど
不要であり、両方の入口からの導入がバランスよく取れると思います。
そうすれば上層階においてはエスカレータ一がフロアの中央に位置し、売場設定も
バランスが取り易く、使い勝手の良いものになったでしょう。
また、食品スィーツやレストラン以外のフロアは子供服や玩具を失くし、丸の内を意識
したゾーニングにしては、いままでの売場とそう変化も見えない状態と言えます。
要は百貨店にあるものが予想通り構築され、ブランドと効率のみを意識したものであり、
百貨店に期待されている「わくわく・どきどき感」は見つけられませんでした。
特に婦人服売場においては、各SHOPのメインVPもインナーを着せないでのコート
提案とか手抜き状態と判断され、お客様にコーディネィトの提案をしていなく、全く興味を
持つようなインパクトが感じられません。
それに比べ、メンズフロアは今までの2層を逆転させ、キャラクターを上層階に配し、
ボリュームゾーンを下層階にして、妥当な構成に戻して好感が持てます。
8Fの自主編集平場もエスカレータ前に配しているのは問題ないが、出来れば下り前より
昇り前が良かったと思われますが、これは昇り前が壁面まで奥行きがなく、SHOPを
貼り付ける事以外に使用できないからと言えます。
すべては上記エスカレータ位置に起因しています。
また、全体の照明が少し暗い様に感じます。現在の日本において売場を暗くして活性化
する一般小売業はありません。落ち着いて見てもらう為との提案でしょうが、照明で
それを表現しないで、照明以外の環境やアメニティをもっと工夫する必要があるでしょう。
今後の店の固定客作りのための接客対応に期待します。

2.ララガーデン春日部・オープン

地域密着型SCの一つであり、特筆すべきものはありません。ただし、駐車場の設定
台数と駐輪場の面積配分にミスがあり、オープン日でさえ、駐車場に空車が目立ち、
駐輪場は一杯でした。立体駐車場からの入口近辺に総合案内所が設置されています。
また、駅側をメインの入口としないで、駅と反対側にメイン入口を設定しているのは、
自転車客を意識しているなら問題はないのですが、駅側の入口にシネマ、駅に遠い
入口に京成リブレ(食品スーパー)の大型店をレイアウトしているなど不合理が多く、
最初から目的にしているシネマは奥まった場所にレイアウトし、見てから帰る人の
衝動買いを狙ったゾーニングにすべきであったと思われます。
また、ディリーで食品のみ購入して帰る人も多く、必需品対応は便利な入口近くに
して欲しいものです。
SCのテナントの顔ブレもどこのSCにもある様なSHOPが多く、わざわざ春日部に
来ないと買えない物はありません。要は地域客のリピータで良いとの発想です。
お客様はニューファミリー層が多く、ダブルインカム世代も見受けられ、お年寄りの方は
一度は来られても、彼らは食品スーパー以外には買うものがありません。
GMSをキーテナントにしないと、高齢者の1ストップショッピングは成立しません。
ターゲット、レイアウト、ショップ導入等に課題のあるSCと言えます。

3.アリオ西新井・オープン
駅から10分程度離れた場所に設置されたSCであり、各テナントにイトーヨーカドー
を配し、SCのSHOPについてはララガーデン春日部より少しマシでしょう。
メインはヨーカドーであり、そこに来店してもらうためのSC-SHOPと見受けられます。
食関係も3Fにそれなりも名店を配し、都内の立地を感じさせるレストランであり、
1Fにおいてもただのフードコートのみでなく、こなれた価格のレストランもあり、
いままでのGMS基幹テナントのSCより少し上を意識していると思われます。
近隣にどんどんマンションが建設されつつあり、地域密着型のリピータ対応には
十分満足があるものと思います。
ただし、交通の便は南北に東武線しかなく、東西にはバスのみであり、バスも赤羽辺り
から約1時間も掛かります。
直行のシャトルバス等も考慮に入れても充分採算可能でしょう。
イトーヨーカドーの衣料品平場もいままでのヨーカドーと異なり、PBのSHOP化や
コーナー化をしないで、ティスト編集に変更しており、見易くなっています。
PBI等のいまのコンセプトや商品構成ではSHOP化やコーナー化は無理があり、
もっとコンセプトが明確にして、商品もコーディネィトが出来る様な企画に修整していく
事が必要不可欠です。
また、イトーヨーカドーのポイントカードにも問題があり、現状のポイントカードでは
新規オープンの店での購買実績があれば、翌日からいままで貯めていたポイントを
使用できるのですが、購買実績がないと他のIYで貯めたポイントが使用できません。
要はオープン日には他のIYで貯めたポイントは使用できないと言う事であり、全国
展開している小売業のポイント制度とは思えないレベルです。
ダイエーも過去にはもっと酷い事例(貯めたポイントはそのポイントを購買した店のみ
しか使用できない)がありましたが、現在はどこの店でも使用可能です。
いかにお客様の事を考えていないかといった事例です。
まだまだ、顧客視点に立って物事を判断できている小売業は存在していないと言う
事の表れでしょう。

これからも、特にリピーターを財産として捉え、ストアブランドやグッズブランドの価値創造
による消費者のライフスタイルの確立を目指すビジネスの重要性が増すものと考えます。
これらの実行が、皆様の企業の発展に寄与できるものと確信しています。

2007.12.02

株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


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