株式会社オチマーケティングオフィス 


<109>ファッション企業の利益の課題と対策


小売事業は店頭売上が前提です。勿論その背景には利益を確保できるビジネスモデルがセットされていなければ、意味がありません。売上と利益を生み出すビジネスモデルが構築出来ていれば、ファッション企業(アパレルと小売業)は店頭売上を維持・向上させる事が前提になってくるのです。今回はファッション企業の利益を確保する事について記載してみます。

消化率不振の原因

自店のお客様のニーズと商品提案のズレ以外にはないのです。その商品提案を的確に合わせた後に、その奥行きの洞察力が必要不可欠なのです。その洞察力を養うには高度なマーケティング技術が必要であり、その精度向上により適正な生産量が判断できるのです。
QRという言葉に惑わされて、ブランディングを怠り、立ち上がり以外は同質化している環境からの早期に脱却をする必要があります。
QRという言葉の認識も各社ばらばらで、例えばシーズン総仕入れの中で、企画も素材も附属も工場スペースも確保していなく、それから企画をして一カ月以内にどの位の製品を倉庫に納入させる事ができるかを共通認識としましょう。その比率向上に向けて稼働できる生産背景を準備する事などを設定して、その可能性を高める方法を模索する事の準備も必要でしょう。
本来はこのブランドのこの製品をどのくらい必要かの販売力の冷静な洞察力がすべてではないでしょうか?背伸びした予算に対しての物づくりは、プロパー販売額やセール販売額を向上させる技術(コスト0のリニューアル=今ある商品で、什器で、販売員をお客様目線に変更する事で売上を向上させる技術))をもっていないと、結果として消化率を悪化させるのです。

在庫やコスト削減の方法

上記消化率を向上させれば、結果としての最終在庫を削減でき、評価損を小さくできるので、利益確保に繋がるのです。委託や消化でビジネスをしている小売業においても、仕入先への返品が減少すれば、仕入れ条件の交渉や仕入れ先の価格もより売りやすくなってくる可能性まで秘めています。
要は、買取条件でのビジネスは在庫が命であり、如何に不良在庫を圧縮できるかに尽きると言えます。
また、コスト削減については、素材や附属の単価カットや、工賃の削減など様々な手法が取られていますが、果たしてそれで売上が維持できて、利益も確保できるのでしょうか?製品の顔まで殺すほどのコストカットは、とても製品が売場で良い顔を見せられていない事に気づくべきなのです。例えば、この製品の味は素材なのか、デザインなのか、色なのか、附属の特長なのか、デザイナーの思いやブランドの特長を無視したコストカットは結果として、そのブランドの味や特長を失っており、店頭で光らない製品になってしまっているのではないでしょうか?
コストカットの優先順位を無視しての製品はお客様のニーズとはどんどん懸け離れているのです。

5RIGHTS & 2VMD+DIRECT・PROMOTION

適正な商品を、適正な数量、適正な場所に、適正な時期に、適正な価格でレイアウトする事と、ビジュアルマーチャンダイジング(VP+MD)とバーチカルマーチャンダイジング(垂直統合による生産コスト圧縮)と自店のお客様への的確なプロモーションが不可欠であり、これを一元管理する技術を包含する事が必要不可欠なのです。当然の如くブランディングが必須です。

利益を生むビジネスモデルの構築

「少ない商品で如何に高い利益を産むか」への挑戦が必要不可欠であり、
1番目には販売実力に応じた無理のない予算設定(売れ筋が欠品したとしても、簡単に追加しなく、売場に残っている売れていない他の商品を売り切るスキルの向上)
2番目には数量ベースではなく、金額ベースでのプロパー消化率、セール消化率、最終残率の固定と逆算による仕入枠の設定)
3番目には自店のお客様に必要なカテゴリーや品番に合わせた展開品番数と色数、サイズ数の絞り込みとそれに合わせた売場什器のセッティング変更
「結果論=金太郎飴MD」によるチェーンオペレーションとローカライズバランスの確認

売場以外にはヒントとマネーが落ちていないのですから、常に現場でヒントや気付きを見つける知力と、それを拾う体力を身につける事が企業を維持向上させていく重要なファクターなのです。マーケットはブルーオーシャンなのですから、マーケティング力とマーチャンダイジング力、そしてマネージメント力のバランスの良い構築とそれに適したプロモーションが必要です。

お客様が必要としているモノやコトを探して、お客様の前に置くといった手法のみでは、これからの時代は生き抜く事が難しくなります。自社の企業ヴィジョンを明確にして、そのヴィジョンを自店のお客様に提示して、共感を頂く努力の上、お客様に支持して頂く方向性が求められています。小売業は消費を考えられるお客様を育てる使命があるのです。

売場以外にはヒントとマネーが落ちていないのですから、常に現場でヒントや気付きを見つける知力と、それを拾う体力を身につける事が企業を維持向上させていく重要なファクターなのです。マーケットはブルーオーシャンなのですから、マーケティング力とマーチャンダイジング力、そしてマネージメント力のバランスの良い構築が必要です。
健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2015.07.27
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


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