株式会社オチマーケティングオフィス 


<100>一度立ち止まるべきオムニチャネル


オムニチャネルという言葉が日本に浮上して数年、各社は先んじて進めなければ生けて行けないとの恐怖概念に苛まされ、猫も杓子もオムニチャネルに邁進しています。
しかし、本当の意味を捉えてのオムニチャネルはまだまだ進行できていないのが現状なのです。

お客様と小売業の接点のバランスが変化する中、確かにオムニチャネルという手法を手に入れる事は重要であり、先駆者利益を得る方法でもあります。そう要は手法なのです。お客様がコトやモノを入手するに当たり、利便性の高い方法を選びだしており、それに適応すべくオムニチャネル手法を準備しておく必要性があるのです。

リアル(店頭)とバーチャル(紙面と画面)のバランスが変化していくことを正しく見つめ、それをどう対応していくのかの見極めが重要であり、各社は手法を手に入れる事ばかりに目が行き、本来のお客様の購買動向を見失っているとしか思えません。道具を購入したのは良いが、何に使ってよいのかが見えていなく、実は自社には不要であるのかも知れません。

各社プロジェクトチームを構成するも、事業組織も変革されようとしていますが、どう見てもお客様不在であり、運営上にも課題のある組織等が目につくのです。

大手A社は500名体制のオムニチームを構築したとの話も耳にしますが、別ではグループ会社の社長級3名を軸にし、どうありきの方向性を探求してから、作業屋に落とすとも聞こえてきます。後者なら可能性は高いのですが、、

大手B社はグループ会社にてトライ&エラーしながら、成功事例を親会社に持ちあげ、最終の方向性を決めるようになっているようです。これも半年前の言葉が古くなる位のスピードを持ったオムニチャネルならある意味正しいものと判断されます。

大手C社は1年半前に外部メンバーをTOPが引き込み、カタログをメインとした事業部を任せたのですが、オムニは上手く回らずにもう一度足元から地道に進めようとされています。これも一理あります。まずは利益の根幹のカタログ事業で安定基盤を構築し、その上で今後のネットを含めたオムニ事業に進むべきなのです。

大手D社は親会社で方向性を煮詰めてと進行していましたが、遅々として進まず、子会社にオムニ事業を移管し、小売業の売場との相乗効果を求める方向とし、グループ会社横断的なネットは親会社が運営するといった方向なのです。

大手E社はカタログ事業を民営化した事業会社と合弁を作り、物産物と物流ルートを確保しての新展開を意識しており、ネットは前述のC社同様外部人材を登用して自社親会社で昨年より運営をしていましたが今年子会社に移管し、子会社のみの運営での成功をまずは求められているようです。ネットとカタログの顧客が違うので、分散化により別々の効果を求めているように見受けられます。

このような各社の状況で、オムニチャネルは試行錯誤しているのが実態なのですが、何が原因かと考えますと、まずはお客様不在であり、お客様の購買動向が見えていなく、それをマーケティングする事から入らないと、何のためのオムニチャネルかが把握できていなく、技術を持ってさあ何をするのでしょうか?一度立ち止まって、ボタンの掛け違いを直すのは、すべてボタンを外す以外に道はないのです。その勇気が各社にあるのでしょうか?疑問です。

小売・流通業界の活性化に向けて、是非とも顧客ニーズ(顕在需要のみでなく潜在需要も)にフィットするモノ・コトを提案できるビジネスフレームを構築できる経営者の育成を望むものです。
実践はやってみないと判らない事もあるのですが、やる前に判断できる事は事前に抑えておくべきです。健全なる企業経営に早急に改善・改革できる事を祈念致します。

2014.10.27
株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之


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